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2021.07.16

申告内容に疑義があったら税務代理権限証書は添付なしでいいのか?

※2019年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週水曜に配信した「申告内容に疑義があるから
税理士が署名しないはアリか?」は、かなり
反響があって驚きました。多くの人が
税理士法の理解を間違えているようです。

さて、今回は同じようなケースで、
「顧問先の申告内容を信用できない場合、
税務代理権限証書を提出しない」という行為
について解説しましょう。

該当する税理士法をうまく図示、解説している
サイトを参照しながら解説を進めていきますので
下記をご覧いただきながら読み進めてください。

近畿税理士会の税理士法解説
第4章税理士の権利及び義務(第30条~第43条)
http://www.kinzei.or.jp/search/regulation/chapter_4_1.html

まず、上記サイトの図を見るとわかる通り、
前回解説した顧問先からの依頼にもとづき
申告書を作成する行為は「税務書類の作成」に
該当することから、その業務を請け負った
税理士は署名押印の義務があります。

一方で「税務代理権限証書」は、「税理士が
税務代理をする場合にその権限を有することを
証する書面」ですから、単純に申告書を作成した
だけでは添付・提出する義務はありません。

ただ、依頼者の申告書を税務署に「提出」する
ことは「代理・代行行為」に該当するため、
税務代理権限証書の添付・提出することになります。

裏を返せば、申告書を税理士が作成したうえで、
その申告書を納税者本人が提出する場合は、
税理士の署名押印は必要になるものの、
税務代理権限証書の提出は不要となります。

ただし、調査の事前通知を税理士が受けることを
依頼されるのであれば、提出者に限らず
税務代理権限証書を提出することになります。

また、申告書を作成はしていない税理士が
税務調査の立会いをする場合、立会いまでに
税務代理権限証書を提出する必要があります。

これは、税務調査の立会いという税務代理
(委任)を受けたことを証する書面の
提出が必要となるからです。

今回の論点である「税務代理権限証書は添付」
ですが、【税務代理を行うなら提出義務がある】
ということですから、前回と同じ結論で、

「顧問先の申告内容に疑義を感じても、
税理士が申告書の代理提出など委任を受けた行為を
行うのであれば、税理士としての責任回避にならず、
むしろ税理士法に抵触する(可能性がある)」

ということになります。

税理士が依頼を受けながら、申告書作成(請負)、
申告書提出・調査立会い(委任)した場合、
署名押印しない・税務代理権限証書を提出しない
ことで責任回避にならず、税理士法違反で
責任を問われるケースもありますから、
ぜひ注意してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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