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2022.07.22

行政手続法と税務行政:行政指導って何?

※2021年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、ここまで取り上げてきた
国税による「行政指導」なる行為について解説します。

すでに本メルマガでも何度か解説しましたが、例えば
税務署から電話連絡があり、担当職員の指摘どおり
申告内容に誤りがあった場合は修正申告となるわけですが、
この電話連絡が「(税務)調査」ではない限り、
【行政指導】に該当することから、この修正申告には
加算税が課されない、というケースは実務で頻出します。

ところが国税通則法を含めた税法全般をいくら調べても、
「行政指導」という言葉は出てきません。
「行政指導」は行政手続法に定められているからです。

税務行政を執行する国税庁管轄(国税局・税務署等)も
行政庁に該当することから、行政手続全般を規定する
【行政手続法】の適用を受けます(一部を除く)。

ですから全般的にいうと、税務(行政)を理解しようと
考えると、行政手続法を学ぶ必要性があるということです。

行政手続法では行政指導を下記と規定しています。

行政手続法第2条六 行政指導
行政機関がその任務又は所掌事務の範囲内において
一定の行政目的を実現するため特定の者に一定の作為
又は不作為を求める指導、勧告、助言その他の
行為であって処分に該当しないものをいう。

この規定から行政指導とはかなり範囲が広く、
「調査」などのように明確に規定できない
国税の行為全般を指していると理解していいでしょう。

税務行政に関わる、行政指導の原則としては
下記のようなものがあります。

●一般原則:行政手続法第32条

行政指導に携わる者は、その行政機関の任務又は
所掌事務の範囲を逸脱してはならない。さらに、
相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、
不利益な取扱いをしてはならない。

「脅しの言葉に反論する根拠法律」

「資料せんに回答することの是非」

●趣旨・内容の明示:行政手続法第35条第1項

行政指導に携わる者は、その相手方に対して、
その行政指導の趣旨及び内容並びに責任者を
明確に示さなければならない。

●書面の交付義務:行政手続法第35条第3項

相手方から書面の交付を求められたときは、
行政上特別の支障がない限り、原則として
これを交付しなければならない。

●中止等の求め:行政手続法第36条の2

法令に違反する行為の是正を求める行政指導の
相手方から、行政指導の中止を求める申出が
あったときは、必要な措置をとらなければならない。

上記のうち特に、一般原則(行政手続法32条)は
税務署対応には必須の規定ですので、これを機に
「行政指導って何?」「従わなくても不利益はない」
ということは理解してください。

来週の本メルマガでは引続き、税理士・会計事務所
として知っておくべき行政手続法と税務行政の接点
について解説していきます。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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