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2021.02.12

税務調査の対象者は「社長」なのか?

※2019年7月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

本日「7月10日」は国税内の異動日です。
いまだ内部ではバタバタしている税務署も、
以後は税務調査に本腰を入れることになります。

さて、今回は税務調査を受けることができる・
受けなければならないのは誰なのか、
調査の対象者について解説したいと思います。

「法人における税務調査において、社長が
調査立会いしなければなりませんか?」

この質問に対して、正確に回答できる人は
少ないのではないでしょうか。

法人税に関する調査においてその対象者は、
国税通則法第74条の2第二号イによって、
「法人」と定められています。
「法人の代表者」ではありません。

一方で、税務調査において一般的には、
調査官は事業概況のヒアリング、もしくは
経理・会計状況の確認のために社長の同席を
求めてくることになりますが、これは
あくまでも実務上の対応の話であって、
法律上の規定によるものではありません。

また、調査手続きを定める法令解釈通達には
下記の規定があります。

1-4(質問検査等の相手方となる者の範囲)
法第74条の2から法第74条の6までの
各条の規定による当該職員の質問検査権は、
それぞれ各条に規定する者のほか、調査のために
必要がある場合には、これらの者の代理人、使用人
その他の従業者についても及ぶことに留意する。

この通達規定から、社長・代表者が
調査に立ち会っていたとしても、従業員に対する
確認・ヒアリング等が必要となれば、
調査の対象者範囲は広がることにも注意です。

この論点は、(法人の調査において)
「税務調査の対象者は社長だ」と
思い込んでいる方によくありがちな勘違いです。

あくまでも、法人税の調査においては
その対象者は「法人」であって、かつ
従業員も含まれることを理解してください。

また、個人事業主に対する調査の対象者は、
国税通則法第74条の2第一号イにおいて
「納税義務者」とされていますので、
上記通達の通り、必要あれば従業員にも
質問検査が及ぶこともありますが、一義的には
事業主本人が対応しなければなりません。

相続税の調査における対象者は、
他税目よりも範囲が広くなりますので、
そちらは法律規定をきちんと確認してください。
(国税通則法第74条の3第一号イ~ト)

税務調査の対象者は誰か、とは実務上
考える機会は少ないのですが、対象者は
誰かを理解しておかなければ、たとえば
反面調査の対象者もわかったことになりません
(反面調査の対象者は、上記法律における
その他の号に対象者と規定されています)。

ぜひ、調査対象者を正確に理解してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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