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2014.11.13

税理士がまさかの狙い撃ち?

今回のテーマは、『税理士がまさかの狙い撃ち?』です。

セミナー終了後の懇親会で、ある税理士からこんなお話をうかがいました。
「毎年、税務署へ提出する顧問先リスト。作成するのは結構面倒ですよね…」

顧問先のリストを毎年提出している税理士も多いようですが
これも法律で義務づけられたものではありません。

何度かメルマガでもご紹介してきてましたが、『法定外資料』のひとつで
必ず提出しなければならない資料ではないのです。

お尋ね文書が何度か届きますが、所詮は署内のアルバイトが送っているもので、
提出をしなかったからといって罰則があったりはしません。

何度送られてきても、気になさらないで結構です。

税務署が管理する企業のデータは、すべてKSK(国税総合管理システム)
から閲覧することが可能ですが、担当の税理士までは管理していません。

業種や業態、地区から企業を検索をすることができても
税理士の名前で検索することはできないのです。

ところが、税理士から提出された資料があれば
調査先の選定に大変役に立つのです。

ある企業の脱税が発覚したとします。

もちろん企業側の単なる人為的ミスもありますが、
税理士が指南した節税まがいのケースもあります。

こうした方法は、他の顧問先でも行われている可能性が高いのです。
顧問先リストを辿って調べてみる価値はあります。

すると案の定、他の企業でもこの手法が見つかりました。
となれば他の顧問先も集中して調査を行います。

実はこんなケースがありました。

風俗店を経営するオーナーが、同業の友人から税理士の紹介を受けました。
他にも風俗店を面倒を見ているので安心と思って顧問を依頼をしたそうです。

風俗店の場合は、ある地区に店舗が集中しています。
遠くの税理士を探すよりは、土地勘があって近場の税理士の方が話が早いです。

しかも他にも風俗店の顧問先が多いとなれば
慣れているこの税理士に任せた方が良いと誰もが考えます。

友人の店舗に税務調査が入った翌年、今度はこのオーナーの店舗にも
税務調査がやってきました。

このオーナーは、風俗店の他にも飲食店、不動産と多角的な経営を
していましたが、すべてをこの税理士に任せていたそうです。

違う税務署の管轄にも関わらず、風俗店、不動産業、飲食店
一斉に税務調査が行われたのです。

これはもう”税理士で狙い撃ちされた”と言う意外にありません。

オーナーが雲隠れすること3ヶ月。その抵抗も空しく、
最終的には1000万円程度の追徴課税が課せられたそうです。

分割して支払うことになったそうですが、金額も大きいため
いくつかの風俗店を売却することになったそうです。

風俗店は、脱税が行われる確率が高く
この税理士の顧問先が意図的に狙われたケースです。

風俗店のオーナーは、一人で複数の店舗を所有しているケースが多いので
芋づる式に発覚すれば大きな手柄にもなります。

また派手な動きをする税理士は、どうしても目をつけられやすくなります。
さすがに一斉に顧問先に調査が入れば大人しくなりますので。

調査官も人間ですので、個人的な感情で動くことも時にはあります。

「仕返しをしてやろうと」という思いばかりでありませんが
このような手厳しい手段に打って出る場合もあります。

皆さんが義務だと思って作成している顧問先リスト。
実は、税務署にとって”おいしい資料”になっているのです。

繰り返しになりますが、『法定外資料』は義務ではありませんので。

 

※2010年6月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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