相続時精算課税選択時の盲点
※2025年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
今回のテーマは、
「相続時精算課税選択時の盲点」です。
知り合いの税理士さんがX(旧Twitter)で
発信されていましたので少しまとめた上で共有します。
令和6年1月1日以降の贈与により取得した財産につき、
相続時精算課税を選択した場合、
基礎控除110万円(前提:特定贈与者が1人)
以内の贈与財産であれば、贈与税の申告不要です
(相法28(1)(2))。
また、その際には、相続税精算課税選択届出書のみを
贈与税申告期限までに所轄税務署長へ提出することになります
(相令5(1)前段、5の6(1)前段、相規10(1)四、(2)五)。
また、特定贈与者の相続税計算上、
贈与時に相続時精算課税に係る贈与税の基礎控除により
控除された額については、特定贈与者の相続時に
特定贈与者の相続税の課税価格計算に加算されない
ことになりました(相法21の15(1)、21の16(3))。
ここで注意が必要なのが、
以下のタックスアンサーのケースです。
国税庁タックスアンサーNo4302
贈与者が贈与した年の中途に死亡した場合の相続時精算課税の選択
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4302.htm
例えば、以下のケースです。
余命半年と診断された父(資産家)がいたとします。
・これまで相続時精算課税には基礎控除がなかったこと
・3年内贈与加算を避けるためには相続又は遺贈により
財産を取得しない者(イメージは孫)へ贈与する必要があること
から、相続人への相続開始直前での贈与は避けてきたかと思います。
しかしながら、令和5年度税制改正により
贈与税の基礎控除が新設され、
かつ、
基礎控除分は相続財産に加算されないことになったため
相続開始直前であっても基礎控除までであれば
相続開始直前であっても相続人に贈与しても
効果を発揮することになりました。
そこで、令和6年3月に
父から長男次男三男へ
110万円ずつ贈与したとします。
そして、贈与後、令和6年中に
父に相続が発生したとします。
仮に、基礎控除を超えた贈与であっても、
相続時精算課税選択者は贈与税の申告義務がありません
(相法28(4))。
なぜならば、相続時精算課税の適用を受ける
贈与により取得した財産(基礎控除を除く)は
相続税で精算されるためです。
しかし、ここで注意が必要です。
「相続時精算課税の適用を受ける」ことが
前提でこの条文が成立している以上、
相続時精算課税選択届出書の提出する初年度の場合、
どのタイミングで届出書を提出すれば
相続時精算課税を選択したことになるのか。
答えは・・・
タックスアンサーにも記載されておりますが、
次のイまたはロのいずれか早い日までに、
贈与者の死亡に係る相続税の納税地の所轄税務署長
に提出する必要があります。
イ 贈与税の申告書の提出期限
(通常は、贈与を受けた年の翌年の3月15日)(相令5(3))
ロ 贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限
(通常は、相続の開始の日の翌日から
10か月を経過する日)(相令5(4))
根拠法令は以下のとおりです。
―――(相令5(3)(4))
3 贈与をした者が年の中途において死亡した場合には,
相続時精算課税選択届出書の提出は,第1項の規定に
かかわらず,当該贈与をした者の死亡に係る相続税の
納税地の所轄税務署長にしなければならない。
4 前項に規定する場合において,同項の贈与に係る
法第28条第1項の規定による申告書の提出期限までに
当該贈与をした者の死亡に係る法第27条第1項の
規定による申告書の提出期限(以下この項において
「相続税の申告期限」という。)が到来するときは,
相続時精算課税選択届出書の提出は,当該相続税の
申告期限までにしなければならない。この場合において,
当該贈与をした者の死亡に係る同条第一項の規定に
よる申告書を提出するときは,相続時精算課税選択届出書
の提出は,当該申告書に添付してしなければならない。
―――
この届出書の提出期限を厳守することで、
相続時精算課税を選択したことになり、
結果として、相続税申告でも基礎控除分を
加算しないで済むことになります。
先ほどのケースを振り返ります。
(前提)
令和6年3月に父から長男次男三男へ
110万円ずつ贈与実行。
ケース1)
父の相続発生日:令和6年5月10日
イ 贈与税の申告書の提出期限:
令和7年3月17日
ロ 贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限:
令和7年3月10日
∴ 相続時精算課税選択届出書は
令和7年3月10日までに相続税申告書に添付して提出が必要
ケース2)
父の相続発生日:令和6年7月10日
イ 贈与税の申告書の提出期限:
令和7年3月17日
ロ 贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限:
令和7年5月10日
∴ 相続時精算課税選択届出書は
令和7年3月17日までに贈与税の納税地の所轄税務署長に提出が必要
相続時精算課税を選択する方が増加する令和6年以降は
細心の注意を要する扱いになりますので、ご留意ください。
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一切受け付けておりませんのでご留意ください。
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