• HOME
  •  › ブログ
  •  › 税務調査終了の際の手続き(修正申告の勧奨編)
2022.10.21

税務調査終了の際の手続き(修正申告の勧奨編)

※2021年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、税務調査を体系的に理解する
内容を連載で解説していますが、今回は前回から引続き
税務調査終了の際の手続きについて解説します。

前回は調査において否認項目があった場合、
原則として「更正」になる旨を解説しましたが、
今回は「修正申告(の勧奨)」を取り上げます。

まず、条文規定を確認しましょう。

国税通則法第74条の11第3項
前項の規定による説明をする場合において、
当該職員は、当該納税義務者に対し修正申告
又は期限後申告を勧奨することができる。
この場合において、当該調査の結果に関し
当該納税義務者が納税申告書を提出した場合には
不服申立てをすることはできないが更正の請求を
することはできる旨を説明するとともに、
その旨を記載した書面を交付しなければならない。

上記規定における「前項の規定」とは
先週解説した「更正」であることから
(先週の解説を繰り返しますが)、

調査官が増差税額・その理由を事前に説明したうえで
「増額更正します」と言う

納税者が自身で誤りを認めるのであれば修正申告を
提出してもいいですよ(修正申告の勧奨)

というのが、税務調査で誤り等があった場合の
本来的な手続きの流れになります。

以上から、修正申告の勧奨に応じるかどうかは
あくまでも納税者の任意であり、かつ
修正申告の勧奨に応じない=(増額)更正となっても
納税者に何ら不利益はありません。たとえば、

●修正申告より更正の方が増差税額が高くなる

●修正申告より更正の方が加算税率が高くなる

などは無いということです。

この点は、下記のFAQでも明記されています

「税務調査手続に関するFAQ(一般納税者向け)」
問25 調査結果の内容説明を受けた後、
調査担当者から修正申告を行うよう
勧奨されましたが、勧奨には応じなければ
いけませんか。また、勧奨に応じないために
不利な取扱いを受けることはないのでしょうか。
(答)
調査の結果、更正決定等をすべきと認められる
非違がある場合には、その内容を説明する際に、
原則として、修正申告(又は期限後申告)を
勧奨することとしています。これは、申告に
問題がある場合には、納税者の方が自ら是正する
ことが今後の適正申告に資することとなり、
申告納税制度の趣旨に適うものと考えられるためです。
この修正申告の勧奨に応じるかどうかは、あくまでも
納税者の方の任意の判断であり、修正申告の勧奨に
応じていただけない場合には、調査結果に基づき
更正等の処分を行うこととなりますが、修正申告の
勧奨に応じなかったからといって、修正申告に応じた
場合と比較して不利な取扱いを受けることは基本的には
ありません。なお、修正申告を行った場合には、
更正の請求をすることはできますが、不服申立てを
することはできませんので、こうした点を
ご理解いただいた上で修正申告を行ってください。

私への質問・相談を見ていると、なぜか
「更正より修正申告の方が得策」
「更正されるのは納税者に不利益がある」
と思い込んでいる税理士が多いように思いますが、
それは全くもって誤った認識ということです。

税理士・会計事務所においては都市伝説として、
更正された納税者(や税理士)は国税から
【目を付けられる】(税務調査に入られやすくなる、
次の税務調査での対応がキツくなる等)と
言われることもありますが、全くのウソです。

税務調査の手続きをきちんと理解しており、
調査対応を厳しくしている税理士・会計事務所ほど
更正と修正申告をフラットに選択しており、
実際に更正された調査事案も多いわけですが、
口をそろえて「前回の調査で更正された顧問先も、
次の税務調査ではいつも通り」と言います。

前回は更正、今回は修正申告の勧奨について
解説してきましたが、来週金曜の本メルマガでは
更正と修正申告の違いについて解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。