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2022.02.25

確定申告が不要となる誤りやすいケース

※2021年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

個人の確定申告実務をしていると、意外に
判断が難しい論点として「確定申告を要しない」
場合に該当するかどうかのケースがあります。

もちろんこれは還付になるケースではなく、
確定申告不要なのに納税になるケースです。

今回は、確定申告が不要となる誤りやすいケースを
取り上げますが、税理士・会計事務所であれば誰しもが
判断可能な論点は省略させていただきます。

まず、2ヵ所(以上)給与であれば、多くの場合
還付になるので、申告することになるかと思いますが、
(納税になる場合で)2ヵ所給与であっても、
申告不要となる要件があります。

具体的には、「給与の収入金額の合計額から、
雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の
各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、
かつ、給与所得及び退職所得以外の所得金額との合計額が
20万円以下の人は、申告の必要はありません」。

「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1900.htm
3(注)

なお、この場合の各種所得の金額の合計額に算入される
一時所得の金額及び総合長期譲渡所得の金額は、それぞれ
2分の1した後の金額で判断することになります。

また、年金収入が400万円以内である者が、
公的年金等に係る雑所得以外の所得金額が20万円以下で
あるときは、確定申告書の提出する必要がないことは
よく知られています。

「No.1600 公的年金等の課税関係」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1600.htm
4(2)

ここで誤りやすい事例として、不動産所得など、
青色申告特別控除65万円等を控除した後の所得が
20万円以下である場合に、確定申告は不要である
と判断するケースです。

所得が20万円以下であることを判断する際は、
確定申告書への記載若しくは明細書等の添付を要件として
適用される特例等は、全て適用しないで計算した所得金額で
判断することになります(所基通121-6、措法25の2(1)(5))。

10万円の青色申告特別控除額を適用する場合には、
確定申告書への記載等の手続き要件はないことから、
控除適用後の所得金額が20万円以下となる場合には、
確定申告書の提出は要しません。

ですから10万円控除した後の所得が20万円以下であれば
申告不要となりますが、65万円(or55万円)を控除しなければ
20万円以下にならない場合は、申告の必要があります。

ここで、本来は確定申告が不要だったにも関わらず、
申告書を提出(還付ではなく納税)していた場合、
その後になっても【撤回】が認められます。

所得税基本通達121-2
申告書に記載されたところによれば法第121条各項の規定に
該当することとなる者から提出された申告書で第3期分の
税額が記載されているものにつき、これらの者から
当該申告書を撤回したい旨の書面による申出があったときは、
その申出の日に当該申告書の撤回があったものとし、
当該申告書に係る既納の第3期分の税額を還付する。

実質的には更正の請求と同じになりますが、
撤回することで納付した税額は還付されます。

この「撤回」はあまり知られていないので、
過年度の申告不要で納税していたケースを
見つけた場合は、ぜひ撤回の手続きをしてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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