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2015.05.28

税務調査の何が適用になったのか?

以前もブログで「税務調査の改正」に関して
書いていますが、なかなか体系的に書くのが難しいため
(ブログの場合、分量にある程度制約があるので)、
今回の配信で整理したいと思います。

まず、国税庁のホームページに
税務調査の手続きに関する改正がまとめられています。

「納税環境整備に関する国税通則法等の改正」について
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/01.htm

改正内容が一覧になっているうえに、パブリックコメントで
公表された通達や事務運営指針も載っており、
こちらを参照すれば、法令以外が網羅できるといえますので、
すべてにきちんと目を通していただきたいところです。

さて、このホームページの中で特に注意すべきである、
すでに実施されている改正内容について解説します。

まず見ていただきたいのは、平成25年(来年)1月1日以後に
行われる税務調査において適用になるはずの改正が、
平成24年(今年)10月1日から前倒し適用になっている
項目がまとめられている部分です。

「税務調査手続等の先行的取組の実施について」
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/senkotorikumi.htm

大きく2つのことが前倒し適用されています。

①事前通知

「納税義務者と税務代理人の双方に通知することとします」
と書いていますが、結局のところ納税者に
「先に」税務調査の連絡がいきます。

この点については、「税務調査手続に関するFAQ(税理士向け)」
の中の「問1」に書かれていますが、
http://www.nta.go.jp/sonota/sonota/osirase/data/h24/nozeikankyo/zeirishi.htm#a01
「税務代理人がいる場合であっても、少なくとも、実地の調査を
実施することについては、税務当局から納税者の方に
直接通知することになります。」とある以上、
いったんは納税者に先に連絡がいくということです。

ここでは、あくまでも税務代理権限証書は
申告書の作成業務において作成・添付されたものと理解しており、
納税者が税務調査の立会いを税理士に委任するかどうかは
わからないため、納税者の意思確認が必要という理解です。

個人的には「改正」ではなく「改悪」だと考えますが、
今までは局ごとに対応が違っていましたので、
統一されたという点では注意すべきポイントです。

②修正申告等の勧奨の際の教示文の交付

修正申告の勧奨(以前の慫慂(しょうよう))時には
税務署(調査官)から書面が出されるようになりました。

また注意が必要なのは、書面を一方的に発行して
受取るのではなく、その書面に「署名・押印」
が求められることになりました。

調査手続の実施に当たっての基本的な考え方等について(事務運営指針)
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sonota/120912/index.htm

4 調査終了の際の手続 (3)修正申告等の勧奨
「(注)1  教示文は、国税に関する法律の規定に基づき
交付する書面であることから、教示文を対面で交付する場合は、
納税義務者に対し交付送達の手続としての
署名・押印を求めることに留意する。」

「一筆入れる」という行為に関して、私は
どんな場面でも否定的な意見を持っているのですが、
「教示文」の内容はフォーマット化されており、
納税者側にリスクがまったくない場合は、
署名・押印しても問題ないと考えています。

いまだ課税庁から税理士会に向けて、
改正内容の研修等が行われていない中での
前倒し適用ですから、各税理士自身が知識を身につけて
正しい対応を求められるので細心の注意をはらってください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2012年10月当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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