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2021.08.30

税務署に事前照会手続きをすべきか?

※2020年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

前回は、「税務署への事前照会手続き」の概要を解説しました。

一般的な税務判断については、大きく
「税務署の窓口で相談・照会」もしくは
「文書回答手続」に分けることができます。

以後も繰り返し取引がある、もしくは
顧問先からの要請で税務判断を明確に
しなければならないような場合などは、
「文書回答手続」をすべきでしょう。

一方で「税務署の窓口で相談・照会」については
個人的には安易に実施すべきではないと考えます。

そもそも論ですが、税務署への事前照会の回答に
どれだけの信憑性があるのか怪しいものでしょう。

税務署に事前相談に行き、その通りに処理したが
税務調査で違う指摘を受けた、という事案を
私が聞くだけでも1件や2件ではありません。

さらには、税務署に事前照会に行った履歴は
残っているものの、照会・回答内容が残っておらず、
税務署が誤指導を認めない、という
トラブルにまで発展するケースも聞きます。

これが、口頭での照会ではなく
文書回答手続を勧める理由でもあります。

また、事前照会するということは事実関係を
税務署に晒すことになるのは間違いありません。

税務署が事前相談した内容と、実際の申告内容を
逐一照合・突合しているとは思えませんが、
税務調査になった際に、回答内容と
処理が相違すれば、税務署は回答内容を
譲らないことも容易に想定されます。

事前照会するということは税理士・会計事務所が
書籍や過去の判決等を調べても判断に迷う
ということでしょうから、そのような判断・申告は
顧問先の納得感が最も大事で、

〇納税者(顧問先)有利に申告して、
税務調査で10%の加算税・延滞税を覚悟するか

〇保守的な判断・処理をするのか

のどちらかになるわけです。

さらに確率論で考えれば、

・税務調査に入られる確率
(絶対に税務調査になるわけではない)

・調査に入られた後に否認される確率
(交渉でどうにかなる確率)

・調査で否認されたとしても(税額が多額だと)
審査請求・裁判にいって勝つ確率

まで考慮すると、税務署に事前照会せず、
顧問先にリスク説明をしたうえで、
自ら判断すべき事案の方が多いはずです。

税務署への事前照会については、
上記のとおりメリットばかりとは思えません。

デメリットおよび顧問先へのリスクまで
考えたうえで照会するか判断すべきです。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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