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2015.11.02

調査官が知らないことを前提にする

こんにちは。
元国税調査官の久保憂希也です。

税務調査を(秘密)録音することについて、税務調査対策メルマガでも何度もお伝えしています。

そしてさらに、税務調査を秘密録音することの可否について、鳥飼総合法律事務所に見解書を書いていただき、販売までしているという徹底ぶりと自負しています。

しかし・・・です。
それでもまだ、信じてもらえていないようです。

先日、ある弁護士さんのメルマガでこのような内容がありました。
(私がメルマガを受信しているわけではなく、ある税理士さんから転送してもらった情報です)

【骨子】

・その弁護士が提携している税理士から、
 調査における 秘密録音の可否について質問が入った
 (弊社が見解書を販売しているのを知ってです)

・その弁護士も「録音すべき」という意見

・「見解書」を持っていようといまいと、
 録音していい事実は変わらないから購入不要

やはり、違う弁護士(しかも税務事案がわかっている)
に聞いても、結論は同じということです。

しかし、私はまだ調査を録音することに疑義を抱いている税理士が
いることに驚く一方、この弁護士は「税務調査の現実」を
知らないな、とも感じました。

本当に「録音してもいい」という見解書は不要なのでしょうか。

本事務年度(今年7月)以降からカウントすると、
下記のように似たような個別相談が2件ありました。
(そのうち、1件はまだ終わっていません)

【調査の内容】

・税理士がいない納税者に税務調査が入った

・調査官に「申述書(答弁書)」を書かされ提出済み

・その後、税額の大きさに驚き税理士に相談

・税務代理権限証書を提出して税理士が立会いを開始

・納税者が提出した書面を見せてくれるよう言ったが、
 調査官は「法的に」見せることができないと言った
 (調査官が言う法的根拠は2事案で違います)

・私に個別相談があり、「法的に」書面の開示請求を主張

・書面が開示され、それをもとに反論開始

つまり両事案ともに、

①調査官がウソをついていた
②調査官が間違っていた

のどちらかということになります。
(実際は提出した書面は開示できますので)

私は、調査官というのはこういうものだと思って
税務調査の対応をしなければならないと考えています。

例えば、私は事務運営指針を全部読んでください、
と税理士の皆さんに繰り返し伝えています。

「事務運営指針」一覧
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/jimu.htm

これは、調査官が知らない、もしくは知っていても
違うことを言った(ウソをついた)ときに反論できないからです。

話を戻すと、税務調査で調査官に内緒で録音をしていた。
税務調査でモメたので、録音を提示した。
すると調査官から「録音は違法だ」と言われた。
どう対応するでしょうか?

調査官が「録音は違法だ」という根拠を並べ、
それでも反論できるのでしょうか?

確かに、調査官の許可なく調査で録音してもいい、
という事実は変わらないかもしれません。
しかし、調査で反論できなければ意味がありません。

繰り返しになりますが、私は
「調査官がウソをつく」「調査官が間違う」
というのは、調査の現場では当たり前だと思っています。

むしろ、そのウソや間違いに反論できない
税理士の方に問題があると思っています。

だからこそ、録音はダメという調査官に反論したいけど、
「元国税の久保という奴がメルマガで書いてた!」
では調査官に反論できないでしょうから、
弁護士の見解書を出しているのです。

税務調査は、理論武装すればうまく対応できるわけではなく、
現場でどう対応できるかが勝負なのです。
意見書を持っており、それを調査官に提示できるかどうかが
勝負の分かれ目になることもあるということです。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

※2013年11月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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