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2021.12.10

交際費課税:広告宣伝費との区分

※2020年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、交際費課税について
解説していますが、今回は「広告宣伝費」と
交際費の区分について取り上げます。

原則的な考え方は、下記の通達になります。

租税特別措置法関係通達61の4(1)-9
(広告宣伝費と交際費等との区分)
不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図する
ものは広告宣伝費の性質を有するものとし、次の
ようなものは交際費等に含まれないものとする。
(1)製造業者又は卸売業者が、抽選により、
一般消費者に対し金品を交付するために要する
費用又は一般消費者を旅行、観劇等に
招待するために要する費用(以下、略)

上記から、交際費ではなく広告宣伝費に
区分されるためには、その支出が

●不特定多数の者に対するもの
●宣伝的効果を意図するもの

の両要件を満たす必要があります。

「不特定多数の者」とは、簡単にいえば
「行きずりの人」になるわけですが、
判決・裁決などでは「通常継続して取引する
ことが予定されていない最終消費者」
(=一般消費者)とされています
(大阪高裁昭和56年1月23日判決等)。

例えば、商品製造メーカーなどが、
販売代理店などが実施する販促に際して、
チラシなどの作成費用を一部負担した
場合ですが、これは広告宣伝費になります。

確かに、「チラシなどの作成費用」は
販売代理店に対する支出とはなりますが、

・あくまでも一般消費者に対して
訴求するための費用

・自社商品の宣伝効果意図するもの

であることから、上記の2要件を
同時に満たしているからです。

さらにいえば、販売代理店に対して
利益供与などを目的にしたわけではなく、
自社の商品を一般消費者に対して、
認知の拡大、さらには他社商品との
優位性を訴求する目的だからです。

これは下記の判決をベースとしています。

東京地裁平成24年1月31日判決
(Z888-1677)

税務調査では、広告宣伝費として
計上しているもののうち、取引先の
費用を実質的に負担している支出が
交際費と指摘されやすいです。

上記の2要件をよく検討し、
適正に反論する必要があるでしょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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