• HOME
  •  › ブログ
  •  › 相続空き家特例に関する論点整理(旧耐震基準)
2023.09.08

相続空き家特例に関する論点整理(旧耐震基準)

※2022年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「相続空き家特例に関する論点整理(旧耐震基準)」です。

前回は、令和5年度税制改正要望(国土交通省)から
譲渡後の除却工事等に関する改正要望を解説しました。

今回は、対象となる建物の要件の1つを確認します。
よく間違えやすい論点ですので、注意が必要です。

■条文確認1(措法35(4)一)
「昭和五十六年五月三十一日以前に建築されたこと。」

■条文確認2(措規18の2(2)二イ(2))
法第三十五条第三項の被相続人居住用家屋及び被相続人居住用家屋の
敷地等の登記事項証明書その他の書類で次に掲げる事項を明らかにするもの
(i) 当該対象譲渡をした者が当該被相続人居住用家屋及び
当該被相続人居住用家屋の敷地等を前項第二号ハの被相続人
(以下この号及び次項において「被相続人」という。)
から相続等により取得したこと。
(ii) 当該被相続人居住用家屋が昭和五十六年五月三十一日
以前に建築されたこと。
(iii) 当該被相続人居住用家屋が建物の区分所有等に関する
法律第一条の規定に該当する建物でないこと。

■検証
Q.昭和56年5月31日以前に建築されたことは、
どのように証明すればよいか?

A.原則として、登記事項証明書における
建築年月日で判断する(上記2)。

ここでの注意点は「建築されたこと」とは
何を意味するかです。

結論としては・・・
「昭和56年5月31日までに建築確認が完了しているか」
になります。

制度趣旨につき、
財務省の税制改正の解説には以下の記載があります。

昭和56年5月31日以前に建築されたこと。
 これは、本特例の創設の趣旨が上記1のとおりであることから
要件とされたところです。よって、いわゆる旧耐震基準の下で
建築された家屋になりますから、昭和56年5月31日以前に
その建築工事に着手したことが書面等により明らかにされるものも
含まれることとなります。

出典:財務省 平成28年度税制改正の解説(P152右側)

つまり・・・
旧耐震基準の下で建築された家屋が要件になっています。

そこで・・・
これを補足する形で通達には次のように定められています
(措通35-26(2))

(登記事項証明書で特例の対象となる被相続人居住用財産であること
についての証明ができない場合)
35-26 譲渡した資産が、措置法第35条第3項の規定の適用対象
となる被相続人居住用財産の要件(措置法規則第18条の2第2項
第2号イ(2)(i)から(iii)までに掲げる事項に限る。)
に該当することについて、同号イ(2)に規定する登記事項証明書では
証明することができない場合には、例えば、次に掲げる書類で
同号イ(2)(i)から(iii)までに掲げる事項に該当するものであること
を明らかにするものを確定申告書に添付した場合に限り、
措置法第35条第3項の規定の適用があることに留意する。
(平28課資3-4、課個2-33、課審7-11、徴管6-24追加)
(1) 同号イ(2)(i)に掲げる事項を証する書類 遺産分割協議書
(2) 同号イ(2)(ii)に掲げる事項を証する書類 確認済証
(昭和56年5月31日以前に交付されたもの)、
検査済証(当該検査済証に記載された確認済証交付年月日が
昭和56年5月31日以前であるもの)、建築に関する請負契約書
(3) 同号イ(2)(iii)に掲げる事項を証する書類 固定資産課税台帳の写し

よって・・・
登記事項証明書において
昭和56年6月1日以降の建築年月日であったとしても
旧耐震基準により建築されたことを明らかにできる場合には
要件を満たすことになりますので、注意が必要です。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。