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2021.09.10

自家消費の計上と必要経費の按分

※2020年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

所得税の確定申告における注意点に関して解説していますが、
今回は「自家消費の計上と必要経費の按分」です。

自家消費(家事消費)に関しては、誤って認識
している方が多いので触れておきます。

自家消費は飲食店などの税務調査でも論点に
なるわけですが、所得税法第39条の規定により、
【棚卸資産を自家消費した場合】に
収入金額に計上しなければなりません。

飲食店においては、自分で(商品である)食事を
飲食した場合には収入金額に計上するわけですが、
例えば、医者が親族を無償で診療した場合に、
収入金額に計上しなければならないという
話ではありません。棚卸資産が絡まないからです。

また、自家消費として計上すべき金額ですが、
自身で申告した場合は、所得税では販売価額の70%、
消費税では50%計上しておけば認められます
(所得税基本通達39-1・39-2)。

「No.6317 個人事業者の自家消費の取扱い」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6317.htm

しかし、申告において計上せず税務調査で
指摘された場合は、原則通り販売価額での
計上となりますので、自家消費については、
申告時に(概算であっても)計上しておくべき
項目といえるでしょう。

個人事業主の税務調査選定においては、
業種によって自家消費の計上がない申告は
狙われる対象となりますので注意です。

また、所得税法と法人税法における考え方の
違いを認識できていない方も多いと思います。

法人税においては、あくまでも法人は営利目的
であることから、無償での役務提供がある場合、
適正価額で売上に計上しなければなりません。

一方で、所得税においては自家消費を除き、
無償での役務提供などは認められますが、
その分だけ必要経費の按分計算は必要となる
ケースがあります。

例えば、個人が所有する賃貸マンションの
1室を親族に無償で貸与していた場合、
賃料相当額を収入に計上する必要はありませんが、
減価償却費・固定資産税などの必要経費は
空室分だけ按分計算する必要があります。

10室のうち1室を無償貸与していた場合、
減価償却費・固定資産税などの共通経費は、
10分の9しか必要経費になりません。

上記の自家消費計上と、必要経費の按分に
関する考え方は誤認しやすいので
注意しながら申告業務をしてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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