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2021.11.26

税務調査の対象期間を定めた規定は存在しない!?

※2020年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先日、興味深い税務調査の質問があったので、
今回はこの実例を題材にして、税務調査の
対象期間について解説しましょう。

【実例】

・法人の税務調査の中で、一部
雑収入の計上漏れが見つかった

・しかし、偽りその他不正の行為と
指摘されていないのに、調査対象期間を
7年にすると調査官は主張している

・調査官は「事前通知段階で7年としても
いいので7年まで調査できる」と主張

まず、本事案において事前通知段階で
3年だった調査年分が「5年」に
延びる要件としては下記をお読みください。

「調査対象期間が3年から5年に延びる要件」

雑収入の計上漏れが、3年超の期間
においても存在するであろう場合、
調査対象期間が5年になるのは
致し方無いケースといえます。

一方で、上記事案の調査官が言うように
「偽りその他不正の行為=脱税」がない
場合でも、調査対象期間が7年になるのを
受け入れなければならないのでしょうか?

国税通則法を何度確認しても、
税務調査の対象期間を定めた規定は
存在しません。

一方で、税務調査の対象期間は、
更正の除斥期間と連動することになります。
なぜなら、税務調査において誤り等が
あった場合、是正の手段は原則として
「更正」(処分)になるからです。
(国税通則法第74条の11第2項)

わかりにくいので、具体的に説明します。

事前通知の段階で5期分の調査対象期間
だったとします(その調査では
偽りその他不正の行為がなかった)。

ここで調査対象期間が6~7期まで
遡ったとして、6~7期に誤りがあった
とします(偽りその他不正の行為はない)。

ここで納税者が6~7期前の修正申告を
「提出しない」と言えば、税務署は更正する
しかありません。しかし、税務署は更正をする
ことができません。なぜなら
偽りその他不正の行為が存在しないからです。
(国税通則法第70条第4項)

このように、更正ができる期間(除斥期間)と
調査の期間は自然にリンクすることになります。

正確には、税務調査の対象期間を7年分
遡ること自体が違法調査ではありませんが、
偽りその他不正の行為がない限り
5年超の期間は更正できませんので、
結局是正することができませんし、
修正申告も提出する必要はありませんから、
結局6~7年前に遡る意味はないのです。

今回のメルマガでは、偽りその他不正の行為
=脱税がない限り、5年超の是正はできない
ことを解説しましたが、来週は
偽りその他不正の行為がないのに
6~7年前の修正申告を提出してしまった
場合の対応について解説しましょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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