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2020.08.21

役員報酬の枠を大きくしておく

※2019年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜の本メルマガでは、経済的利益や
源泉対象について解説していますが、
今回は税務調査において経済的利益の課税が
なされた場合の事前対策について解説します。

税務調査において経済的利益を指摘され、
特に役員に対する課税が発生するケースが
多いわけですが、その場合役員報酬として
定期同額になる・ならないの基準は下記です。

「No.5202 役員に対する経済的利益」
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/5202.htm
「役員に対する給与の額とされる経済的な
利益の額が毎月おおむね一定している場合には
定期同額給与に該当し、損金の額に算入されますが、
その他の場合には、経済的な利益に相当する金額は
損金の額に算入されません。」

ここで、調査で指摘された経済的利益が
「毎月おおむね一定している場合」で
定期同額給与に該当することになっても、
損金にならないことがよくあります。

役員報酬の【形式基準】にひっかかり、
過大と認定されるケースです。

例えば、役員が1名で役員報酬の年額が
1200万円であった場合に、総会議事録で
1200万円(以内)として決議があれば、
否認指摘された経済的利益が「毎月おおむね一定」
であったとしても、損金にはならない
役員報酬として課税されることになります。

ですから、経済的利益の課税リスクを考えて、
総会決議・議事録には「3000万円」や
「1億円」など、かなり余裕ある
金額を設定しておくべきなのです。

なお、役員報酬の総額(上限)に変更がない場合、
前回(直近で)決議した金額が引き継がれますので
当初から上限金額を大きくしておけば、役員報酬を
引き上げた際でも、その枠内であれば
改定決議が不要になります。

また、大きめの会社になると株主に
第三者が入っていたり、役員が複数人いて
「そんな適当な総額決議はできない」
という事情がある場合もあります。

そうであったとしても、株主総会では
余裕ある総額(上限)の決議をしておき、
その枠内において株主総会もしくは取締役会で
各役員の報酬を設定すればいいだけであって、
総額(上限)に余裕をもたせた方がいい
ことには相違ありません。

役員報酬における総額(上限)の
形式基準はあくまでも、株主総会決議
(もしくは定款記載)の金額であって、
取締役会決議での各設定額ではありません。

特に外部株主がいて、総会で決議する場合、
(議事録に記載するかどうかは別ですが)
「実際の役員支給総額は月額総額500万円
に設定しますが、経済的利益のリスクもある
ことから、上限は月額800万円で決議
させてください」と伝えれば、
株主も納得することになります。

外部株主からしても、実際の支給額が
大事なのであって、かつ課税リスクは
低い方がいいという意味では利害一致します。

もちろんこの場合、株主は取締役会で
500万円を超えて役員報酬を支給決議
される法的リスクだけは存在するわけですが、
普通は総会で伝えた内容と相違する
役員報酬を設定する役員はいないでしょう。

役員報酬の形式基準を満たさないがために
損金不算入になるのはバカらしいので、
総額設定は余裕ある金額にしておきましょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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