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2023.07.21

調査立会い時に税務代理権限証書を提出すればいいのか?

※2022年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

これから税務調査の最盛期になりますが・・・
よくある質問・相談として、

●顧問先ではない(申告を受託していない)

●税務調査が開始されている法人・個人事業主

●途中から調査立会いする場合、税務代理権限証書を
いつ・どのように出せばいいのですか?

という実務上の論点があります。

税務代理権限証書の提出は「税理士又は税理士法人が、
税務代理をする場合に、その権限を有することを証する
書面を税務官公署に提出する手続」に該当します。

[手続名]税務代理の権限の明示
https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/zeirishi/annai/001.htm

根拠条文は下記となります。

税理士法第30条(税務代理の権限の明示)
税理士は、税務代理をする場合においては、財務省令で
定めるところにより、その権限を有することを証する
書面を税務官公署に提出しなければならない。

このように、調査立会い=税務代理をする場合、
税務代理権限証書の提出が必須になるわけですが、
提出の期限は明記されていません。

被調査者に顧問税理士がいない、もしくは調査の途中で
立会う税理士が交代する場合、「実務上は」
税務調査の場で調査官に対して税務代理権限証書を
提出すれば、そこから調査立会いができるでしょう。

しかし、昨今は手続き論が厳しくなっているので、
この実務対応を認めない調査官も増えているようです。

なぜなら、上記税理士法の規定では
「書面を税務官公署に提出しなければならない」
とされており、あくまでも税務代理権限証書の
提出先は税務署であって、収受印がない書面は
有効ではない、という厳密な考え方があるからです。

ですから、被調査者から調査立会いを求められた段階で、
事前に担当調査官に電話連絡した方がいいでしょう。

担当調査官によっては、調査での対面時において
税務代理権限証書を提出するのではなく、
事前に郵送での提出を求められる可能性もあります。

税務代理権限証書の提出については、
調査現場での対面提出でいいのか、もしくは
事前の提出が必要なのか、担当調査官の指導内容に
従った方が得策です。

税理士法の文理解釈から、調査現場での
税務代理権限証書提出が有効でないとされた場合、
その日の調査に立ち会えなくなることは、
依頼者の信頼を失うことになりますので。

税務代理権限証書の事前提出は、以前であれば
調査官もうるさく言わなかった論点なのですが、
昨今は「ニセ税理士問題」も注視されている状況で、
また担当調査官も調査の途中から立会いをする
税理士を事前に調べておきたい、という
実務上の要請もあるようです。

いきなり調査現場で税務代理権限証書を提出する
のは(若干でも)リスクがともなうことから、
事前の電話連絡をした方が無難でしょう。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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