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2020.08.07

私的経費を役員貸付金に振替えた場合の利息は役員給与か?

※2019年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週金曜の本メルマガでは、役員貸付金に対して
設定すべき利率について解説しました。

今回は、税務調査において法人が支出した経費
において、社長の個人的支出があった場合、
該当する経費を役員貸付金に振り替えたときに
生じる利息について解説します。

先日、実際にあった質問を紹介します。

〇税務調査初日の前日に経費の一部を
役員貸付金に振り替え未収利息を計上して
修正申告書を提出した

〇調査官の主張は下記となっています

・貸付金処理は認めるが、調査日までの
未収利息は役員給与として処理すべき

・税務調査において上記の処理をした場合、
未収利息は過去に経済的利益を受けているので
役員給与として処理するのが一般的

・調査日までの未収利息については
法人に返済する必要はない

ちなみに、これに類する質問は多々ありますが、
上記見解に対する根拠を調査官に問うても、
明確な根拠は出てこないようです。

こんな論理は、調査官が課税するために
言ってるだけのものであって、
もちろん根拠などあるはずがありません。

調査官が言っている内容は「普段処理する
利息は未収計上だが、税務調査では
役員給与になる」というムチャなものです。

まず、下記をご覧ください。

「No.5202 役員に対する経済的利益」
https://www.nta.go.jp/m/taxanswer/5202.htm

1(5)に「無利息又は低率で金銭の貸付けを
した場合における通常収受すべき利息と
実際に徴収した利息との差額」が
経済的利益になるとあります。

よく考えていただければおわかりいただける
と思いますが、無利息もしくは低利であれば、
役員は経済的利益を享受してますが、
適正利率を設定していれば、その役員に
経済的利益は発生していないことになります。

先週のメルマガでも紹介しましたが、
下記も併せてご覧ください。

「No.2606 金銭を貸し付けたとき」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2606.htm

この2にありますが、「役員又は使用人に
無利息又は低い利息で金銭を貸し付けた場合に、
次の(1)から(3)のいずれかに該当する場合には、
上記1にかかわらず、給与として課税しなくても
よいことになっています。」ということで、
適正利率を設定している場合は(2)
に該当し、役員給与になりません。

経済的利益に関して理解を深めるとともに、
税務調査において調査官が何の根拠もない
指摘をしてきた場合に、適正に反論する
根拠としていただければと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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