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2024.01.26

令和5年度税制改正大綱(相続空き家特例に関する特別控除の規制)

※2023年1月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「令和5年度税制改正大綱
(相続空き家特例に関する特別控除の規制)」です。

前回は、国土交通省による税制改正要望が
実現した内容でした。

今回は、税制改正要望にはなかった
改正内容をお伝えします。

―――
(2) 相続又は遺贈による被相続人居住用家屋
及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得を
した相続人の数が3人以上である場合に
おける特別控除額を 2,000万円とする。
―――

前回メルマガが大綱における(1)が
国土交通省の改正要望となっていました。

今回メルマガが大綱における(2)となり
上記の規制が追加されることになります。

相続空き家特例の要件の1つに
相続又は遺贈により被相続人居住用家屋
及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得
した相続人に適用されます。

つまり、被相続人居住用家屋及び
被相続人居住用家屋の敷地等を複数人で
相続又は遺贈により共有した場合、
2人でも3人でも4人でも各自が
3,000万円の特別控除が可能となります。

当然、1億円規制がありますので、
4人で1.2億円の特別控除は適用できませんが
それでも、複数であれば、ある程度の
節税戦略を構築することは可能です。

そこで、今回の改正(2)は、
相続又は遺贈による被相続人居住用家屋
及び被相続人居住用家屋の敷地等の取得を
した相続人の数が3人以上である場合には
特別控除は3,000万円から2,000万円に
引き下げられることになります。

具体的には、以下のとおりです。

まずは、
相続空き家を2分の1ずつ相続した
相続人2人が当該物件を譲渡し、
その際の譲渡所得が6,000万円であった場合
相続人2人につき3,000万円ずつ
合計6,000万円の特別控除を
適用することが可能です。

次に
相続空き家を3分の1ずつ相続した
相続人3人が当該物件を譲渡し、
その際の譲渡所得が9,000万円であった場合
相続人3人につき3,000万円ずつではなく
2,000万円ずつの合計6,000万円の
特別控除を適用することになります。

1億円規制を鑑みると、
複数の相続人等が同じ割合で
相続又は遺贈により取得した場合でも
最大は5人になるのではないか
と推察します。

相続空き家特例に関する適用の入り口は
相続又は遺贈になります。

この点、注意が必要になります。

つまり・・・
遺言が無ければ、遺産分割協議で
何人が相続するのかによって
いくらの特別控除額を適用できるのが
決まります。

また・・・
生前に遺言を作成する場合には、
相続空き家を何人で適用させるのかを
検討して遺言を作成する必要があります。

この規制の施行時期は
令和6年1月1日以後に行う
相続空き家譲渡に適用されます。

そのため、令和5年中の譲渡であれば
当該規制は及ばないため、
令和5年中の譲渡も検討余地があると
推察します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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