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2019.12.10

重加算税が取り消された事例(その5)

※2018年11月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「重加算税が取り消された事例(その5)」ですが、

平成25年9月26日の裁決をご紹介します。

10月12日のメルマガで下記の内容を書きました。

平成30年9月27に国税不服審判所のホームページに

平成30年1月から3月分までの裁決事例が掲載されました。

この中の国税通則法関係のうち、

重加算税に関して争われた事例が5件あり、

5件全てが重加算税が取り消されたものです。

そこで、今回から5回シリーズで、

これらの事例を検証していきます。

この5回目なのですが、

このうちの1つは水曜日の久保氏のメルマガの回で

取り上げられていましたので、

その5は以前の裁決事例を取り上げます。

同じく重加算税が取り消された事例です。

この事例は「翌期に納税されたパンフレットの製作費に関する消費税を

今期の仕入税額控除額に含めていた」ことが重加算税の対象とされた事例です。

問題になった課税期間は「平成21年12月1日~平成22年11月30日」です。

以下、時系列で事実関係を整理します。

〇平成22年11月25日:パンフレットの製作に関する請求書の発行日付

〇平成22年11月29日:パンフレット製作会社(J社)の従業員Lが

 請求人のK課長に「納品は12月10日(金)の予定です。」という旨の

 メールを送信。

〇平成22年11月30日:K課長は了承した旨のメールを返信。

〇平成22年11月30日:製作費をJ社に支払い、広告宣伝費に計上

〇平成22年12月14日:パンフレットの納品(納品書も同日付)

国税の主張は「パンフレット等が本件課税期間内に納品されないことを

認識していたにもかかわらず、総務チーム(注:支払い、経理処理を担当)に

これを伝えず、請求書に基づき支払ったパンフレット等製作費を

あえて課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額から除かなかったのであり、

帳簿書類の意図的な集計違算の事実が認められる。」というものです。

ただし、総務チームは「物品等の購入に係る経費計上の会計処理に当たっては、

請求書のみの確認を行っており、納品の事実を確認していなかった。」

という状況です。

そして、国税不服審判所は下記と判断しました。

〇請求書は、一般に代金の支払を求める書類であって、

物品等の納品の事実を示すものでないところ、

K課長が、L氏に対してパンフレット等製作費に係る請求書の発行を依頼し、

パンフレット等の納品が遅れることを認識しつつ、

平成22年11月25日に本件各請求書を受領したのは、

請求人の経理事務に関する慣行がある中、計画どおりの予算管理の観点から

行ったものと認められる。

〇パンフレット等は、J社が印刷を委託したⅯ社から納品され、

請求人はその際に同社が作成した納品書を受領している。

〇そうすると、K課長がパンフレット等の納品前に請求書の発行をL氏に

依頼したことは単に経費の前払を求める書類の作成を依頼したものと認められ、

請求人が、請求書をパンフレット等の納品の事実を示す書類として

J社から受領していたとみることはできず、

請求書に虚偽の記載もないことからすると、

通謀により虚偽の証ひょう書類を作成したとは認められない。

〇当時の請求人の経理事務に関する慣行として、

経費が生じた各部署と会計処理を行う総務チームとの間で

納品の事実の確認に関する連絡体制が整備されておらず、

また、経費の計上に当たり納品の有無が会計処理に影響することが

請求人内の各部署において認識されておらず、

納品日の確認が行われていなかったと認められる。

〇その意味で、請求人にはそもそも経費計上に対する

社内的なチェック体制に不備があり、経費の計上時期について、

金額の多寡にかかわらず、厳格性を欠いていたものと認められる。

〇そうすると、請求人が、本件各請求書を受領した事実をもって経費を計上し、

この結果、本件課税期間の課税仕入れに係る支払対価の額に

パンフレット等製作費を含めたのは、単に、パンフレット等が

納品された事実の確認を怠っていたことによるものと認められる。

このとおり判断し、隠ぺい、または、仮装の事実は無いと判断したのです。

いかがでしょうか?

私のメルマガ(10月1日配信)でも取り上げた別の事例になりますが、

契約書の日付をバックデートで記載したにも関わらず、

重加算税が取り消された事例もあります。

これも消費税の仕入税額控除に関して争われた事例です。

秋の税務調査が大詰めを迎えている方も多いと思いますので、

重加算税の「本当に考え方」という点を改めて検証して頂きたいと思います。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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