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2022.09.30

事前通知後~調査前に更正の請求をすべきか?

※2021年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

本メルマガでは何度も、事前通知後に申告内容等を
見直したうえで、誤りがあれば調査初日前までに
(自主)修正申告を提出するよう解説してきました。

これは主に、加算税の観点から重要となります。
平成28年度税制改正以降は、調査通知後~
調査初日前までに修正申告した項目については、
過少申告加算税が10%⇒5%と軽減されますし、
重加算税は課されないことになります。

「加算税制度(国税通則法)の改正のあらまし」

少し古い内容とはなりますが、下記の
記事(過去メルマガ)も併せてご覧ください。

「調査前に修正申告を出す意味」

一方で、似て非なる論点なのですが、
事前通知後に申告内容を見直したところ、
税額が減になる場合、更正の請求を事前に
提出すべか判断に悩む場合もあります。

(税額増の)修正申告の場合、調査前に提出すると
調査官が調査開始時に修正申告に気付いていない
ケースも想定されますので、調査開始時には
修正申告を提出した旨を伝える必要があります。

さて、更正の請求も同じように、
調査初日前に提出しておいて、調査開始時に
伝えればいいのでしょうか。

もちろん、調査前の提出が悪いとは言いませんが、
更正の請求の場合は、結局は【税務調査で
まとめて調査対象になる】という観点からいえば
事前に提出するのは、さほど意義はないでしょう。

例えば、

・事前に気付いた税額減:100

・税務調査での否認額:70

の場合、相殺して▲30になるわけですから、
このケースでは調査官による職権による
減額更正で処理してもらえば済む話であって、
事前に更正の請求をする意味はありません。

また、別のケースで想定しても、

・事前に気付いた税額減:20

・税務調査での否認額:100

の場合、相殺すると+80の税額増となり、
結果として修正申告の額が調整されるだけです。

税務調査で否認額がなく、税額減だけが
認容される場合は、調査官による減額更正か、
もしくは調査結了後の更正の請求を求められる
ことになりますが、それが更正の請求であっても
調査官が処理しますので還付処理は早いはずです。

これは、調査官の事務処理的な視点で考えても
同じ結論になります。

納税者側からすると還付を受けるのが早い方がいい
=更正の請求を早く出すべき、という
思惑もあり得るとは思いますが、すでに
事前通知(調査通知)があった事案について、
更正の請求を提出した場合、その担当の調査官に
まわり、還付処理はされないことでしょう。

調査官からすると、すでに事前通知した事案について
更正の請求を調査前に提出されても、調査時に
まとめて確認すると判断するからです
(机上確認だけで先に還付する意味はありません)。

このように、調査前に更正の請求を提出しても
税務調査でまとめて処理される、ということから
事前に更正の請求を提出する必要はありません。

少なくとも、調査中に「実は税額が過大になってる
ことに気付いてはいまして・・・」として、
調査官に伝えれば問題ないということになります。

修正申告と更正の請求の違いを理解しながら、
ぜひ切り分けて考えてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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