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2022.09.09

不正・横領の税務/第3回:従業員が受け取ったリベート等

※2021年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

水曜の本メルマガでは前々回から、従業員の不正・横領が
発覚した場合の税務処理について解説していますが、
今回は従業員が受け取ったリベートやキックバックが
法人の収益になるのか、という論点について解説します。

この類の質問・相談はよくあるのですが、
税務調査で発覚した場合、調査官はほぼ間違いなく
法人の益金計上を求めてきますが、実態で判断した場合、
あくまでも従業員個人への課税になるケースも多いです。

いわゆる「所得の帰属」の論点ですが、
根拠条文となるのは法人税法11条や消費税法13条など
実質所得者課税の原則になりますので、
税務調査では事実認定となり、難しいポイントです。

法人の収益と認定された場合、法人に対する
重加算税の論点が発生しますが、重加算税については
別途のメルマガで解説するとして、税務調査では
「まず」法人の収益ではなく従業員の所得に帰属する
と主張・反論することが重要になります。

従業員が取引先からリベート・キックバックを
受け取っている事例として、もっとも多いのは
外注先に対して水増しした支払いを行って、
手配した従業員がキックバックを受取るケースですが、
このような事例に関する有名な判決があります。

仙台地裁24年2月29日判決ですが、詳細は
下記の過去メルマガ記事をご覧ください。

「裏金は誰に帰属するのか?(その1)」

この判決の結論は、従業員が受け取っていた
リベート・キックバックは法人には帰属せず、
あくまでも従業員個人の所得と認定したのですが、
重要な判断要素は大きく3つになります。

●当該従業員に仕入に関する決定権限がなかったこと

会社内のルールとして入札制度を採用しており、
リベート・キックバックを受け取っていた
従業員が所属する部署には選定・決定権限がなかった

●就業規則上リベートの受領が禁止されていたこと

就業規則には「会社の許可なく、職務上の地位を
利用して、外部の者から金品等のもてなしを
不当に受けた時」は解雇する旨の規定があり、
全従業員に周知されていた

●従業員自身の判断でリベートを費消していたこと

この従業員は受け取った金銭を部下との食事会や
コンペ等に個人的に費消していたことに加え、
会社の備品等の購入に充てていたのですが、
それは会社の指示ではなく、あくまでも
従業員個人の判断であることが認定されています

以上から、従業員が単なる名義人とは評価できず、
個人としての法的地位に基づいてリベートを
受け取っていたと評価し、そもそも法人に
収益が帰属しないと判断されたわけです。

従業員・役員が個人名義で受け取っていた
リベートに関して所得の帰属を争った事案は
公開裁決事例にも多数掲載されています。

https://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0102020100.html

その判断基準の多くは、上記の判決のように

●業務・権限の範囲内か
●規則・規程上で禁止されているのか
●誰の判断で金銭が費消されたか

が要素項目(総合勘案)となります。

こういう観点から考えると、リベートなどが
起こりやすい業種・業態の顧問先に対しては、
社内ルールや規則・規程の整備を指導した方が
(労務だけでなく)税務面からも良いということです。

来週水曜の本メルマガでは、引続き
従業員の不正・横領に関してですが、
法人に重加算税が課されるのかについて解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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