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2021.09.06

外国税額控除の考え方と注意点

※2020年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

所得税の確定申告における注意点に関して解説していますが、
今回は「外国税額控除」です。

実務上あまり出てこないので、外国税額控除の
考え方から理解していない方も多いでしょう。

なお、外国税額控除全般における説明は
下記国税庁のサイトに詳細が載っています。

「No.1240 居住者に係る外国税額控除」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1240.htm

そもそも、外国税額控除とは国外で生じた税金の
二重課税を調整するための制度ですが、
完全に二重課税を排除することを担保している
制度ではない、という根本理解が重要です。

国外で納めた税金を、国内の所得税からそのまま
差し引くと、国内で還付し過ぎてしまうことから、
限度額の設定・計算をする必要があります。

限度額は、申告書に添付する下記の明細書によって
計算することができます。

「外国税額控除に関する明細書(居住者用) 」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/001115/pdf/06/06_033-4.pdf

また、実務上申告については、外国税額控除を
選択するのか、もしくは必要経費に算入するか
選択適用となっていることから、有利不利判定が
必要にあるケースもあります。

一般的には、税額控除を選択した方が有利な
ケースが多いと考えますが、赤字により
課税所得が発生しないことから税額控除の適用を
受けることができない場合、控除限度額が
不足している場合などは、必要経費に算入した方が
有利になるケースもあります。

このあたりは、法人における外国税額控除の
解説にはなりますが、下記がわかりやすいです。

「外国税額控除 EY税理士法人」
https://www.shinnihon.or.jp/corporate-accounting/commentary/tax-effect/2019-09-06-02.html

また、例えば不動産所得と配当所得の両方で
外国所得税が生じている場合、不動産所得は
必要経費にし、配当所得は外国税額控除を
選択するということは認められません
(所得税基本通達46-1)。

申告対象期間(1年)に中で生じた外国所得税の
全部について、外国税額控除か必要経費かの
完全選択制になっています。

また、これもよくある勘違いですが、
外国税額控除の適用にあたっては
租税条約の締結は関係ありません。

二重課税の排除というと租税条約を想定しますが、
租税条約がない国の外国所得税でも、
外国税額控除は適当することができます。

外国税額控除については、計算してみると
意外に控除額・反映税額が少額になることで
違和感がある、という方も多いと思いますが、
全体の仕組みを理解すると納得しやすいでしょう。

外国税額控除がある申告をする際には、
上記に留意して申告業務を行ってください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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