2015.11.18

事前通知がまた変わる

2013年12月、税制改正大綱が発表になり、年末にまとめて
読んでみましたが、本当に読みにくいですね。

毎年のことなのですが、細かい改正まで考えると、
すべてを把握するのは現実的にかなり難しいです。

税務調査については、手続きの大改正(施行)が
昨年行われたばかりですから大幅改正はないものの、
1点だけ注意しなければならないことがあります。
それは「事前通知の方法がまた変わる」ということです。

大綱の110ページにはこのように記載されています。

(2)調査の事前通知の規定の整備
税務官公署の当該職員は、租税の課税標準等を記載した申告書を
提出した者について調査する場合において、その租税に関し
税理士法第30条の規定による書面を提出している税理士があるときは、
国税通則法等の定めるところにより、当該税理士に対し
調査の事前通知をしなければならないこととする。
(注)上記の改正は、平成26年7月1日以後に
   行う事前通知について適用する。

つまり、事前通知を時系列で整理すると、

平成24年9月まで:税理士に先に連絡が慣例
(地域によってバラつきがあった)

平成24年10月~平成26年6月(現在):
納税者に先に連絡が慣例
(ただし税理士からの苦情が多いため
税理士に先に連絡している地域もあるとのこと)

平成26年7月以降:税理士に先に連絡が法定化

となります。手続きがこれほど短期間で変わると、
面倒で仕方がないのですが、納税者有利の改正です。

なお、この「法定化」ですが「国税通則法等の定めるところにより」
とありますので、下記条文が改正になる予定です。

国税通則法第74条の9(納税義務者に対する調査の事前通知等)
税務署長等(国税庁長官、国税局長若しくは税務署長又は税関長をいう。
以下第七十四条の十一(調査の終了の際の手続)までにおいて同じ。)は、
国税庁等又は税関の当該職員(以下同条までにおいて「当該職員」という。)に
納税義務者に対し実地の調査(税関の当該職員が行う調査にあつては、
消費税等の課税物件の保税地域からの引取り後に行うものに限る。
以下同条までにおいて同じ。)において第七十四条の二から第七十四条の六まで
(当該職員の質問検査権)の規定による質問、検査又は堤示若しくは提出の要求
(以下「質問検査等」という。)を行わせる場合には、あらかじめ、
当該納税義務者(当該納税義務者について税務代理人がある場合には、
当該税務代理人を含む。)に対し、その旨及び次に掲げる事項を通知するものとする。

また、正確にいうと税理士法で下記規定があり、
こちらは以前から改正になっていません。

税理士法第34条(調査の通知)
税務官公署の当該職員は、租税の課税標準等を記載した申告書を
提出した者について、当該申告書に係る租税に関しあらかじめ
その者に日時場所を通知してその帳簿書類を調査する場合において、
当該租税に関し第30条の規定による書面を提出している税理士があるときは、
あわせて当該税理士に対しその調査の日時場所を通知しなければならない。

あくまでも税理士法は、納税者と税理士に
「あわせて」事前通知をするということです。
後先の規定はありません。

なお、上記改正の詳細な解説は、

「超速!平成26年度税制改正解説テキスト」
http://kachiel.jp/tax/26kaisei.html

に載っていますので、参考にしていただければと思います。

顧問先には、税務署から連絡があっても
「税理士に任せているからそちらに連絡して」
と依頼していたと思いますが、今年7月以降は
この配慮が不要になるということです。

面倒ですが、再度顧問先には
「税務調査の事前連絡は税理士に連絡が入りますので
心配いりません」と告知する必要があります。
(2014年の7月以降なのでその点は注意してください)

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

※2014年1月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。