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2021.04.30

事前通知で対象期間が5年の税務調査

※2019年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

税務調査の事前通知段階において、通常は
調査対象期間は「3年」となっていますが、
これが当初から「5年」と通知される場合
について解説しましょう。

まず、前提となる事実から解説しますが、
税務調査の対象期間を定めた規定はありません。

なぜなら、税務調査で誤りがあった場合、
税務署は更正することを前提としており、
税務調査の対象期間は(最大で)更正の除斥期間
と一致するからです。

国税通則法第24条(更正)
税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、
その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の
計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、
その他当該課税標準等又は税額等がその調査した
ところと異なるときは、その調査により、当該申告書に
係る課税標準等又は税額等を更正する。

「税務調査の遡及年数」
http://kachiel.jp/blog/%E7%A8%8E%E5%8B%99%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E3%81%AE%E9%81%A1%E5%8F%8A%E5%B9%B4%E6%95%B0-2/

以上から、「実務上は」3年とされている調査対象期間
ですが、これは時効とは何の関連性もありませんので、
5年と言われても何らおかしいことではありません。

税務署ではよくあるのが、無申告者に対する
調査対象期間を当初から5年とするケース。

これは、消費税も含めて調査を考えると、
調査対象期間を3年とする意味がなく、
当初から5年としておく典型例といえるでしょう。

無申告者でもないのに、事前通知段階で
「5年」「5期」とされるケースにおいては、
考えられる理由・原因は大きく2つあります。

(1)4~5年前の資料せんがある

税務調査の選定理由が資料せんである場合に、
その資料せんが4~5年前の取引であれば、
税務署はさすがに調査対象期間を3年とはしません。

(2)5年(期)を通じて同様の取引に疑義がある

ある特定の取引先に対する金額・単価などが
怪しいとにらんでいる場合、また同族会社に
対する支払いなどに疑義があると考えているなど、
5年(期)を通じて同様の取引に疑義がある場合、
あえて当初から5年を調査対象期間にします。

通常は3年の事前通知が5年と言われるわけですから、
税務署としてはピンポイントに確認したい
項目があることは間違いないでしょう。

調査前に申告書を見直すのであれば、上記のとおり
4~5期前の単発な特殊な取引か、もしくは
継続的な取引があるものということになります。

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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