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2023.02.24

更正の請求:実務上の論点(複数・まとめ)

※2022年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週水曜の本メルマガから引続き、更正の請求
について解説しますが、今回は連載の最終回で、
ここまで取り上げてこなかった、実務上の重要な
論点をいくつかまとめて解説することにします
(特に、所得税絡みの更正の請求)。

今年年初(1月5日)の本メルマガでは、
更正の請求は国税通則法第23条の要件により
「正しい処理内容である申告から、
正しい申告への変更は更正の請求ができない」
と解説しました。

これは譲渡所得の申告において、取得費が不明
の場合において、5%の概算取得費を用いるか、
もしくは市街地価格指数を用いるかでも
実務上判断に迷う論点でもあります。

まず、取得費不明の場合に、当初申告で5%の
概算取得費を適用したうえで、後になって
取得費を市街地価格指数を用いた金額に
変更した更正の請求は認められません。

「市街地価格指数適用替えの更正の請求はできない」

この論点も「更正の請求が認められたことがある」
と言う話を税理士・会計事務所から複数聞いた
ことがあるのですが、それはラッキーなだけです
(更正の請求の担当者が不知だった)。

一方で、当初申告で5%の概算取得費を
適用したうえで、後になって取得費の実額が
わかる資料等が出てきた場合、これは
更正の請求の要件を満たしています。

「譲渡所得取得費不明の場合で
更正の請求ができるケースできないケース」

また、当初申告要件がある規定(その多くは
措置法規定)については、当初申告で
適用しない限り、更正の請求をすることが
できないわけです。所得税の典型事例としては
「住宅ローン控除」がこれに該当します
(もちろん、年調済み・申告なしであれば
住宅ローン控除で還付申告が5年間できます)。

しかし、(法律規定とは反し)一般的な
税務署の実務対応としては、住宅ローン控除で
更正の請求をすることができます
(正確には「更正の嘆願」になります)。

「更正の請求はできる?できない??」

住宅ローン控除に関しては、税務署も
納税者有利の取扱いをしているのが実情です。

さて最後になりますが、所得税に限らず、
実務上は更正の請求をするか、もしくは
進行年度で過年度損益修正損で計上するかが
判断に迷うケースとして最も多いと思います。

判断基準として、後発的事由・後発事象が
進行年度にあれば過年度損益修正損として
当期に計上となりますが、多くのケースでは
「過年度の誤りに今気づいた」というのが
事実なので、このような場合であれば
更正の請求が正しい税務処理になります。

「更正の請求か当期の損失計上か?」

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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