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2022.06.03

税務調査における顧問先の納得感はどこにあるのか?

※2021年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週は大阪・名古屋・東京+Live配信で、
計400人弱の方に私のセミナーを受講いただきました。

※このセミナーの収録DVD・動画については、
後日販売させていただきますので、しばしお待ちください

このセミナー内でもお伝えした「税務調査でのリスク」、
さらには「税務調査における顧問先の納得感」について
本メルマガで私なりの考え方をまとめてみましょう。

まず、大前提となる(私の)考え方です。

●事後的救済の方が事前救済よりもコスト
(労力・時間・費用など)が間違いなく大きくなる

●顧問先は不服申立てや裁判などを望んではいない

●本メルマガの読者対象である税理士・会計事務所の
守備範囲から考えると、税務調査内で問題解決をすべき
(弁護士の守備範囲は事後的救済を含む)

ですから、税理士・会計事務所としては、顧問先に対して
事前にリスクを説明し、顧問先が納得している限り、
顧問先が判断したことを尊重すればいいと考えています。

税理士・会計事務所が保守的に判断・処理することは
むしろ最も簡単な方法であって、顧問先に
より多くの税金を払ってもらえばいいわけです。

問題なのは、税理士として(独立した公正な立場とはいえ)
それが依頼者である顧問先の利益にかなっているのか、
という点に尽きるでしょう。

ですから、税務調査を受けた結果として、修正申告すること・
更正されることが悪いわけでもありませんし、
顧問先(のほとんど)もそう捉えているはずです。

先日のセミナーでは「外注費と給与の区分」で
リスクという論点を取り上げたので、上記を
もう少し具体的に解説してみましょう。

たとえば、キャバクラなど水商売の顧問先において、
外注費か給与で処理するかは非常に難しい問題であり、
かつ顧問先の税負担は大きく変わってきます。

過去の判決等をみれば、銀座・北新地など高級クラブの
ホステス以外はすべて給与だと私は認識していますが、
とはいえ現実的にいえば、顧問先に対して
「外注費として処理しますが、税務調査で給与と
認定されるリスクはありますよ」と事前に説明し、
経営者が「では外注費で」と判断するのであれば、
外注費として処理すればいいという考え方です。

では、ここでいう「リスク」とは何でしょうか?

正確には、外注費を給与と認定された場合の
増差税額はリスクではありません。なぜなら、
この増差税額は、本来の処理である給与に是正した
場合に発生する税額であり、もともと給与として
処理していれば発生しなかった税額だからです。

一方で、税務調査におけるリスクとは究極的に、
加算税・延滞税(などの附帯税のみ)です。
本来は負担する必要がなかった税額だからです。

ですから、外注費を給与と認定される可能性とともに、
加算税(+10%)のリスクを説明したうえで、
経営者が「加算税のリスクを負ってもいい」と
言うのであれば、税理士・会計事務所としての
リスク説明は果たしていることになります。

経営者の考え方によっては、加算税10%は
(たいした)リスクに感じない、という人もいます。
それはそれで、顧問先の納得感です。

さらにいうと、税法の適用誤りなど白黒が明確である
論点はともかく、外注費・給与の区分など事実認定で
否認される要素を判決・裁決事例で学ぶことの意義は、

●何を・どうすれば否認指摘されない(されにくい)か

もしくは

●否認指摘されても適正に税務調査内で反論できるか

という点になります。事後的にどう反論するかではなく、
(普段から)事前に何をしておくべきか、という話です。

だからこそ、私が「お勉強的な」内容の
セミナーをしないのは、ここを重視しているからです。

私は仕事上、税理士とその顧問先のモメ事を数多く
見てきましたが、税理士がミスしたからトラブルに
なるわけでもなく、事前にリスク説明がない、もしくは
その対策を具体的に明示していないからこそ、
顧問先の納得感がなくトラブルに発展するのです。

顧問先の立場に立って考えてみた「納得感」から、
税務調査におけるリスクを捉えてみると、
普段から顧問先に何を伝えるべきか変わるはずです。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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