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2017.02.24

消費税における『事業』とは?

※2016年8月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「消費税における『事業』とは?」ですが、

裁決(平成15年12月17日、平成23年3月8日)を取り上げます。

消費税と所得税では「事業」の定義に相違があり、

消費税における「事業」とは事業的規模を指すものではありません。

だから、雑所得でも消費税の課税対象にはなり得ます。

消費税の課税対象を定めた消費税法4条では

「国内において事業者が行つた資産の譲渡等」などに「消費税を課する」

となっています。

そして、ここでいう「資産の譲渡等」とは、消費税法2条1項8号において、

「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供」

とされています。

さらに、この「事業」の意義ですが、消基通5−1−1において、

下記とされています。

「事業として」とは、対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに

役務の提供が反復、継続、独立して行われること。

なお、注書きで「個人事業者が生活の用に供している資産を譲渡する場合の

当該譲渡は、「事業として」には該当しない。」ともされています。

これに関して争われたのが、上記2事例です。

〇 平成15年12月17日

この事例は「約40年に1度行われた立木の譲渡であっても、山林の反復、

継続的な育成、管理が行われていた場合には、事業として対価を得て

行われる資産の譲渡に該当するとした事例」です。

40年に1度はかなり極端な例ですが、ここまでの長期に渡らずとも、

「反復、継続的な育成、管理」が行なわれていた場合は、上記通達でいう

「反復、継続、独立」に該当することになるので、注意が必要です。

〇 平成23年3月8日

この事例は「稲作の休作期間中に売却を目的として整地工事をした

土地の譲渡は、事業の用に供していた資産の譲渡として、「資産の譲渡等」に

該当するものとした事例」です。

この事例に関し、国税不服審判所は下記と判断しています。

・資産の譲渡等には、事業活動の一環として又はこれに関連して行われる

資産の譲渡を含み、事業の用に供している土地等の譲渡は、事業に付随して

対価を得て行われる資産の譲渡に該当するものと解される。

・この事例は、秋の収穫後の冬季の休作期間に売却を目的として

整地工事をした稲作農地であった土地につき、売却時点において、

事業の用に供する資産に当たるか否かが争われたものである。

・請求人は、稲作農地であった本件土地は、宅地に整地した時点で稲作が

できなくなり、その時点で家庭用資産になったのであるから、本件土地の

譲渡は「資産の譲渡等」に当たらない旨主張する。

・しかしながら、本件土地は稲作農地として請求人の事業の用に供されていた

土地であって、例年どおり冬季の休作状態にあった時期に、本件土地の

売却の話があり、それを受けて宅地に整地するための工事が行われた

ことからすれば、当該工事は、請求人の事業用資産である本件土地の売却を

目的として行われたものにすぎず、事業用資産としての性格を失わせる

事情にはならない。

・また、他に本件土地の事業用資産としての性格を失わせる事情は

認められないことを併せて考えると、本件土地は、売却時点において、

請求人が営む事業の用に供していた資産であったと認めるのが相当であり、

本件土地の譲渡は、請求人の事業活動に関連して行われる資産の譲渡であって、

「資産の譲渡等」に該当するものと認められる。

(出典:国税不服審判所ホーム—ページ)

いかがでしょうか?

繰り返しになりますが、消費税と所得税では「事業」の定義が違います。

なお、上記で「約40年に1度の譲渡」という極端な事例を挙げたことには

意味があります。

それは、デッドラインというか極端な事例にこそ、

「税理士の説明責任」としての本質があるからです。

もし、みなさんがこの事例をお客様から質問され、

「約40年に1度だから、反復、継続」には該当しないと考えたら、

それは怖いことです。

だからこそ、極端な事例「も」知ることにより、

「説明しておかなければならない『可能性としての』リスク」

を知ることができるのです。

 

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