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2024.04.05

弔慰金:計上時期・業務上の死亡の判断基準など

※2023年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

先週水曜のメルマガから引続き、「(死亡退職)弔慰金」
について解説しますが、今回は連載の最終回として
ここまで取り上げなかった論点について解説します。

今月5日配信の「弔慰金:退職金と区分するため実務上すべきこと」
でも書いたとおり、弔慰金に関しては社内規程を整備しておくべきで、
規程内容が税務上の範囲内(相基通3-20)であり、
かつ規程どおりに弔慰金を支給している場合、
税務調査において否認されることはないでしょう。

一方で、弔慰金規程がない場合、(本来は)株主総会決議が
必要となるわけですが、定時株主総会は翌期に開催することから、
総会での支給決議を待たずに弔慰金を支給することが多く、
弔慰金の損金算入時期に迷うケースもあり得ます。

退職金と退職弔慰金は根本的な性格を異にするものですが、
弔慰金に関して法人税法等の明確な規定がないことから、
退職金の下記通達の適用(準用)があると解されています。

法人税基本通達9-2-28
退職した役員に対する退職給与の額の損金算入の時期は、
株主総会の決議等によりその額が具体的に確定した日の
属する事業年度とする。ただし、法人がその退職給与の額を
支払った日の属する事業年度においてその支払った額につき
損金経理をした場合には、これを認める。

上記から、弔慰金の支給~支給時の損金計上~
(後日の)株主総会決議において追認、で問題ありません。

また、弔慰金の規程を設定していない法人に対して、
規程を作成・設定する際に気になる税務上の論点として、
「役員だけの設定で問題ないのか?」(従業員に弔慰金を
設定・支給しない)という水平的公平性の問題があります。

※日当など経済的利益の供与に関する
水平的公平性の論点は下記を参照してください

「日当の否認指摘に反論する方法」

弔慰金を役員だけに設定し、従業員に設定しない
規程であったとしても、税務上は問題ありません。
退職金を役員だけに設定し、従業員に設定しなくとも
税務上問題にならないのと論点は同じです。

最後の論点となりますが、弔慰金は通達上
●業務上の死亡:最終月額報酬×36ヵ月(以内)
●業務外の死亡:最終月額報酬×6ヵ月(以内)
であることから、生命保険が多額に入金される場合など、
できれば「業務上の死亡」としたいケースも多くあります。
通達に下記の規定があります。

相続税法基本通達3-22(「業務上の死亡」等の意義)
3-20に定める「業務」とは、当該被相続人に遂行すべき
ものとして割り当てられた仕事をいい、「業務上の死亡」とは、
直接業務に起因する死亡又は業務と相当因果関係がある
と認められる死亡をいうものとして取り扱うものとする。

単純に「業務遂行中に発生した事故により死亡した」場合
などはわかりやすいのですが、現実的なケースでは
心筋梗塞やクモ膜下出血など、業務と死亡との関連性が
明確ではないことが多いと思います。

この点、業務の遂行状態が肉体的・精神的に過重だったか等、
税務上は労働法の考え方・判断基準が準用されます。

平成17年9月12日裁決事例(争点番号:400309020)
請求人は、業務上の死亡の判定に当たり、(1)本件被相続人
(経営者)の死亡を労災の認定基準に当てはめることは誤りであり、
業務上の死亡は社会通念に従って判定すべきであること、
(2)本件被相続人の自殺は、相続税法基本通達3-22の
業務上の死亡に該当し、本件弔慰金は相続税法第3条
第1項第2号の退職手当金等に該当しない旨主張する。
しかしながら、業務上の死亡の判定を、業務遂行性及び
業務起因性といった労働法の判定基準に準拠することは
合理的と認められ、役員についても「業務上の死亡」かどうかは
同様に判定すべきところ、労働法における自殺の取扱いでは、
自殺は原則故意の死亡とされ、業務上の理由による発病が
なければ業務起因性がないものとされている。これを
本件についてみると、本件被相続人が業務上の理由により、
発病していたという事実は確認することができないから、
本件被相続人の自殺は、業務上の死亡とは認められない。

ここまで全4回にわたって死亡退職弔慰金について
解説してきました。死亡退職については、法人の
株式評価(株価下げ)も含めて退職金を支給することだけを
検討しがちですが、弔慰金を含めて検討することで、
実質的な節税になりますので、ぜひ参考にしてください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

久保憂希也

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