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2021.10.22

税務調査で「更正なら青色取消し」の指摘に反論すべき論点(1)

※2020年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

税務調査で否認項目がある場合、
調査官は予定調和として修正申告になる
ものだと思っており、「更正してください」
と言われると、如何に修正申告に
もっていくのかを考えることになります。

さて、ここでは税務調査において
仮装・隠ぺい行為があり、それらを含めた
否認項目に納得できないことから、
「更正してくれ」と調査官に伝えたところ、
「更正するなら青色取消しをします」
(修正申告するなら青色取消しはしない)
と言われたケースで考えてみましょう。

「更正なら青色取消し」はもちろん、
修正申告への誘導と考えてください。

なお、このケースで考慮すべき論点は
多くあることから、今回から3回に分けて
同じ題材を取り扱っていきます。

まず、青色取消しの要件ですが、
法律には下記の規定があります。

法人税法第127条第1項第3号
その事業年度に係る帳簿書類に取引の全部
又は一部を隠蔽し又は仮装して記載し又は
記録し、その他その記載又は記録をした
事項の全体についてその真実性を疑うに
足りる相当の理由があること

この法律規定はかなり漠然としている
ことから、事務運営指針が存在します。

「法人の青色申告の承認の取消しについて」

青色取消しの具体的な要件については、
次回のメルマガに譲ることにして、
今回は「事務運営指針とは何か?」です。

重加算税や青色取消しのように、国税側が
行う「処分」については、法令解釈通達の
代わりに事務運営指針を規定しています。

法令解釈通達(主には基本通達)とは、
5万人を超える国税職員が、バラバラの
法律解釈を行わないよう、その解釈を
統一・基準化しているものです。

一方、事務運営指針は全国524の税務署が
バラバラの処分を行わないように、
その処分基準を統一・基準化したものです。

法令解釈通達と事務運営指針は、
法律の解釈か処分の基準かで相違がある
ものの目的は同じで、国税職員・税務署が
守らなければならないルールなのです。

青色取消しの法律規定は上記のとおり、
かなり曖昧な内容となっており、重加算税を
賦課するなら青色取消しもできそうに
読めるのですが、実はそうではなく、
事務運営指針の規定内容から
反論することが大事になります。

また、「仮装・隠ぺい」があれば
青色取消しができると思い込んでいる
調査官も多いのですが、これは単純に
事務運営指針の規定を知らないだけです。

重加算税・青色取消しなど処分については
事務運営指針が重要ということは
十分に認識しておいてください。

来週水曜の本メルマガでは青色取消しの
具体的な要件と注意事項を解説します。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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