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2020.02.25

調査対象期間が延びる根拠とその該当性

※2018年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

一般的に税務調査は、国税内の期間でいう
上期(7〜12月)と下期(1〜6月)で
区切りがありますから、調査は12月までに
終わっていることが原則になります。

一方で、税務調査が長引いており、
年越ししてしまう事案を持っている税理士も
少なからずいると思いますが、モメている
要素として調査対象期間延伸のケースが多いです。

事前通知で3年と言われたにもかかわらず、
調査が進むにつれて、「5年に延ばします」
と言われ、反論しているケースですね。
(実際に年末になるにつれて、このような
質問・相談が増えています)

調査対象期間の延伸については、
国税通則法第74条の9第4項において
「非違が疑われることとなった場合」と
規定されているものの、通達や事務運営指針等でも
その解釈や詳細は規定されていませんので、
「調査官の言いなり」になることが多い項目です。

さて、調査対象期間の延伸要件となっている
「非違が疑われることとなった場合」ですが、
国税内の規定(FAQ)には下記が載っています。

「税務調査手続等に関するFAQ(職員用)」
(平成24年11月 国税庁法人課税課)
問1−56
事前通知した調査対象期間以外の課税期間につき、
質問検査等を行う場合とは、具体的にどのような場合をいうのか
(答)
事前通知した調査対象期間を調査している過程で非違を把握し、
その非違が認められる取引先との取引が調査対象期間よりも
前の課税期間にも存在するなど、調査対象期間よりも前の
課税期間にも同様の非違が疑われる場合などが該当します。

つまり、調査対象期間が延びる要件は、

(1)3年の調査の中で誤り・漏れがあった

(2)その誤り・漏れが、調査対象期間より前の期間にも
同様に存在することが想定される

ことが要件ということです。

調査官の中には、(1)だけで調査対象期間を5年に
すると言い出すケースも散見されますが、
正しくは(2)の要件を満たす必要があります。

また、そもそも(1)を満たしていないケースも
多くありますから、さらに注意が必要です。

例えば、調査対象期間の3年内において、
調査官が否認指摘をしたものの、それに対して
納税者・税理士が反論をしている中で、
「非違」とは確定していない状況です。

このような場合、明確な非違ではないことから、
「3年ではわからないので、5年にします」
は認められないことになります。

ここでは、「調査対象期間の3年で非違と
決まった・認めたわけではありませんから、
調査対象期間が延びる要件を満たしていません」
と主張・反論する必要があります。

この論点は、適正に反論すべき税理士も
わかっていない方が多いのですが、調査官も
理解せずにとりあえず調査対象期間を延伸
させようとするケースが多いので、
ぜひ注意して調査対応してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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