2015.04.01

調査官の土俵に乗らない

今回のテーマは、『調査官の土俵に乗らない』です。

税務調査では、論点がいくつか存在する否認指摘ポイントがあります。

例えば、給与か外注費かという問題は、単に
「指示命令系統が法人にあるから給与」と断じることはできず、
多くの論点を「総合勘案」して判定すべきポイントです。

これら論点が複数存在するポイントで否認指摘を受けた場合、
大切なのは「調査官の論点で勝負しない」ことです。

例えば、「過大役員報酬」で否認指摘を受けたとします。
よくある否認指摘の口上としては、
「類似の会社に比べて役員報酬が高すぎる」というものです。

「類似の会社に比べて役員報酬が高すぎる」と言われても、
納税者側としては調べようもありません。

また類似法人で比較された場合の問題点は、
調査官が抽出した類似法人がどの会社であり、
その抽出基準は何なのか、納税者側には開示されないことです。

となれば、「類似法人で比較して過大役員報酬です」と
否認指摘されても、この論点で戦うと、
実質的に反論する余地がないということです。

このような場合どうすればいいのでしょうか?
他の論点を探して、そこで勝負するのです。

過大役員報酬の場合、下記法律が存在します。

法人税法施行令第72条の2(過大な使用人給与の額)

法第36条(過大な使用人給与の損金不算入)に規定する政令で定める金額は、
内国法人が各事業年度においてその使用人に対して支給した給与の額が、
当該使用人の職務の内容、その内国法人の収益及び他の使用人に対する
給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が
類似するものの使用人に対する給与の支給の状況等に照らし、当該使用人の
職務に対する対価として相当であると認められる金額(退職給与にあつては、
当該使用人のその内国法人の業務に従事した期間、その退職の事情、その
内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの使用人に
対する退職給与の支給の状況等に照らし、その退職した使用人に対する退職
給与として相当であると認められる金額)を超える場合におけるその超える
部分の金額とする。

この施行令の条文からわかるとおり、過大役員報酬かどうかを
見極めるポイントは、類似法人との比較だけではなく、
下記の4つのポイントを総合的に勘案したものだというわけです。

①職務内容
②法人の収益状況
③他の使用人に対する支給状況
④類似法人との比較

たとえ、「類似法人で比較して過大役員報酬です」と
否認指摘を受けたとしても、①~③の論点で反論すべきです。

①職責が重い・付加価値が高いからこれだけの役員報酬を払ってるんだ
②役員報酬をこれだけ払ってもなお、法人の所得はこれだけでている
③もっとも高い使用人の給与と比べて●倍なのは適正だ

調査官は自らが否認しやすい論点で攻めてきます。
この論点を受入れることを前提にしていたら、
その否認指摘には反論できないことがよくあります。

いかに論点を変えて反論するか。
論点が法律上見つからないときは、複数の類似判決を調べて
何が論点になっているのか、洗い出さなければなりません。

 

※2012年2月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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