• HOME
  •  › ブログ
  •  › 人間ドック費用に関する経済的利益
2021.01.15

人間ドック費用に関する経済的利益

※2019年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

株式会社KACHIELの久保憂希也です。

毎週金曜は経済的利益に対する給与課税と非課税の
判断基準について解説していますが、今回は
「人間ドック」の費用を法人が負担した場合の
経済的利益についてです。

まず、下記の国税庁ホームページにも人間ドックの
費用負担は「原則として」給与課税は不要となる
旨が明記されています。

「人間ドックの費用負担」
https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/gensen/03/03.htm

そもそも、「人間ドック」という用語は一般的に
「健康診断を総合的にしたもの」という程度の
意味合いであって、どこかに健康診断との明確な
線引きがあるわけではありません。

法人には法律(労働契約法)上の「安全配慮義務」
があり、労働安全衛生法では従業員に対して
1年に1回の定期健康診断を義務付けていますから、
その費用を法人が負担するのは当然であって、
経済的利益はないものと見做されるのが原則です。

ただし、他の経済的利益と同じ考え方で、
人間ドックの費用負担が課税されないためには、
下記2つの要件を満たしている必要があります。

〇水平的公平性と垂直的公平性が担保されている

これについては本メルマガですでに解説して
いますし、上記の国税庁サイトにも
明記されていますが、詳細は下記をご覧ください。

「役員だけの人間ドックは認められない」
http://kachiel.jp/blog/%E5%BD%B9%E5%93%A1%E3%81%A0%E3%81%91%E3%81%AE%E4%BA%BA%E9%96%93%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%81%AF%E8%AA%8D%E3%82%81%E3%82%89%E3%82%8C%E3%81%AA%E3%81%84/

〇高額であれば認められない

先週取り上げた「社内旅行」でも同じですが、
人間ドックの費用も高額であれば認められない
(経済的利益として課税される)可能性があります。

人間ドックの場合、あくまでも「健康診断程度」
であれば課税されませんが、それを大幅に超える
診断項目や費用・額となると、税務調査で
否認され得る論点になってしまいます。

単純に「高額」といっても2つの論点があって、
上記「垂直的公平性」の問題で、例えば

・従業員は2万円以内

・役員は20万円以内

となれば、10倍の差が垂直的公平性に
該当するのかというのが1つ目の論点です。

2つ目は、法人が通常負担すべき「健康診断程度」
の費用と比べて高額であるという論点です。

先日ある税理士さんから、「社長の人間ドックが
40万円で否認指摘を受けた」という調査事案を
聞きましたが、さすがに40万円は高額だという
指摘は受けることになるでしょうし、実際に
経済的利益の税務書籍などを見ても、
40万円は課税としているものが多いです。

人間ドックにおいて「いくらを高額と見做すのか」
難しいのは、日当などと同じ論点だと思いますが、
人間ドックの費用平均相場が数万円であることを
考慮すると、その額が10万円程度であれば
否認されないものと考えていいでしょう。

ですから、「40万円の人間ドックを受けたい」
という社長がいれば、「10万円までは法人負担」
として、それを超える30万円は自己負担にする
などのルール決めが大事になります

特に役員の場合、経済的利益として課税されると
役員賞与で損金不算入(+源泉漏れ)となります
ので、保守的に考えて処理すべきでしょう。

ここでも「社内規程の通りに処理している」かは
通用しないので注意が必要となります。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。