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2019.09.27

やむを得ない事情と帳簿の保存要件

※2018年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「やむを得ない事情と帳簿の保存要件」ですが、

平成26年9月9日の裁決をご紹介します。

今回の事例は

〇 インターネットでの通信販売を行う事業者

〇 刑事事件の捜査によりパソコンが押収され、返却時には壊れていた

〇 領収証を段ボール箱に入れ、事務所内の押入れに保管していたが、

  請求人が■■■■(注:刑事事件の関係?)を受けている間に、

  賃貸人が事務所の賃貸借契約を解除した上、領収証を保存していた

  段ボール箱を廃棄

という状況です。

この状況の下、帳簿及び請求書等の保存は要件であるとして、

帳簿仕入税額控除が否認された訳です。

しかし、納税者は本項にある宥恕規定をベースに反論しました。

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災害その他やむを得ない事情により、

当該保存をすることができなかったことを

当該事業者において証明した場合は、この限りでない。
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しかし、国税不服審判所は下記と判断し、

納税者の主張を認めませんでした。

「災害その他やむを得ない事情」の意義について、消費税法基本通達

11-2-22で引用する同通達8-1-3は、「災害」とは、

天災又は火災その他の人為的災害で自己の責任によらないものに

基因する災害をいう旨定め、また、「やむを得ない事情」とは、

上記「災害」に準ずるような状況又は当該事業者の責めに帰することが

できない状況にある事態をいう旨定めている。

当該各通達の定めは、消費税法第30条第7項ただし書の趣旨に照らし、

当審判所においても相当であると認められる。

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参考:消費税法基本通達

(災害その他やむを得ない事情の意義)
11-2-22 法第30条第7項ただし書《災害その他やむを得ない事情により

帳簿等を保存しなかった場合》に規定する「災害その他やむを得ない事情」

の意義については8-1-3による。

(災害その他やむを得ない事情の範囲)
8-1-3 法第8条第2項ただし書《輸出物品販売場免税の不適用の

規定を適用しない場合等》に規定する「災害その他やむを得ない事情」の

意義は、次の各号に掲げるところによる。

(1) 「災害」とは、震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、

地滑り、火山の噴火等の天災又は火災その他の人為的災害で

自己の責任によらないものに基因する災害をいう。

(2) 「やむを得ない事情」とは、前号に規定する災害に準ずるような状況

又は当該事業者の責めに帰することができない状況にある事態をいう。
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ちなみに、大蔵省主税局、高松国税不服審判所長などの要職を歴任された

伊藤義一先生の著書「税法の読み方 判例の見方」(TKC出版)によれば、

「やむを得ない事情」の定義が下記とされています。

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「やむを得ない事情」は「事の次第」に重点を置いた表現

「やむを得ない事情」は、「やむを得ない理由」とほぼ同じ概念であるが、

どちらかといえば、「そのようになった根拠」よりも「そのように

なった事実ないし事の次第」に重点を置いた表現である。

例えば、「・・・確定申告書をその提出期限までに提出した場合(税務署長に

おいてやむを得ない事情があると認める場合には、当該申告書を

その提出期限後に提出した場合を含む。)・・・」(所得税法71条2項)

のように用いられ、また、過失により租税特別措置法上の特例の適用漏れが

あった場合等における宥恕規定等に用いられている。
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宥恕規定の適用は厳しい場合が多いですが、

刑事事件でパソコンが押収され、返却時には破損などの状況でも、

これが認められなかったのです。

だから、この部分はかなり厳格に理解しておく必要があるのです。


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