2015.07.31

不動産の付合

さて、今回は「不動産の付合」です。

あるTV番組で家屋の大改築のことを取り上げていましたが、

家屋が綺麗になったことよりも、私は違うことが気になりました。

それは民法242条に定める「不動産の付合」についてです。

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(不動産の付合)

不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。

ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。
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例えば、よくあるケースとして、

○ 父名義の建物が古くなってきた

○ 父には増改築をするお金がない
 
○ 子が増改築の資金提供をする(同居が前提の場合もある)

というものがあります。

しかし、こういう場合に単純の資金提供してしまうと、

建物所有権は父のままであるため、「不動産の付合」となります。

そして、これは子から父への贈与になるため、金額によっては

多額の贈与税を課されることにもなります。

実際、増改築部分に関し、夫から妻からの贈与となり、

納税者が負けた事例があります(東京地裁、昭和51年2月17日)。

ただし、こういうことに一般の方は無頓着であり、

贈与税が課されるリスクを負っている物件は相当数あると思います。

しかし、「増改築したいが、資金がない」と現実は多いかと思うので、

これをどう対策していけばいいかを考えてみましょう。

○対策1(共名義有にする方法)

「父の家屋の時価」と「子が提供する金額」のバランスを考え、

共有名義で登記する方法があります。

例:現在の建物の時価300万円、子供が提供する金額1,500万円の場合

・父の持分・・・「300÷(300+1,500)=1/6」

→父から子への移転部分:300万円×(1-1/6)=250万円

・子の持分・・・「1,500÷(300+1,500)=5/6」

→子から父への移転部分:1,500万円×(1-5/6)=250万円

 
結果として、双方に移転する経済的利益が同額なので、問題はありません。
  

また、父は家屋の一部を譲渡することになりますが、

譲渡所得が出ることはまず無いでしょう。

ちなみに、譲渡所得が出たとしても3,000万円控除は使えません。

○対策2(事前に建物の名義を変更する方法)

父の建物を子に贈与(または売却)した後に増改築を行ないます。

そうすれば、子名義の建物を子が自己資金で増改築したことになり、

何の問題もありません。

いかがでしょうか?

実際には、相続税法9条のみなし贈与に該当しながら、

贈与税を課税されていることは少ないかもしれません。

しかし、不動産の付合による贈与税のリスクを回避することは可能なので、

上記1、または、2のいずれかの方法を検討すべきなのです。

もし、税理士にこの問題の相談があった際に「大丈夫ですよ」と答えれば、

それは大きなリスクを追うことになるので、ご注意ください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2013年4月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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