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2015.07.14

不動産の時価とみなし贈与

 今回は「不動産の時価とみなし贈与」です。親族間で不動産の売買をすることもありますが、

その際に気をつけなけばならないのが、いわゆる「時価」です。当然、時価よりも高額、低額ということになれば、贈与の問題に発展します。そこで、今回は相続税法7条のみなし贈与につき争われた事例を題材にこれを検証してみたいと思います。

ちなみに、事例は国税不服審判所の採決(平成15年6月19日)でTAINS番号は「J65-4-40」です。

まずは、前提条件です。

○ 祖母Aから孫Bへの賃貸不動産の譲渡

→ 孫Bは銀行からの融資で支払った

○ 譲渡対価は7,195万円(建物1,995万円、土地5,200万円)

→ 譲渡対価は知人の不動産業者から相場を聞き、

  固定資産税評価額を参考に決定

→ 土地に関しては不動産鑑定評価書がある

→ 原処分庁側が算出した土地の時価は約6,553万円

○ 売却時点での建物の未償却残高は約2,500万円

→ 固定資産税評価額は約1,983万円

○ 相続税評価額は建物が約1,388万円、土地が約5,535万円

→ 合計で約6,923万円

○ 贈与税の決定、無申告加算税の賦課決定がされた

結果は全面的に納税者の主張が認められ、全部取消しとなったのですが、その理由は以下の通りです。

○ 相続税法第7条は財産に係る譲受けの事情、譲受価額、市場価額、

  相続税評価額などを総合勘案して「著しく低い価額の対価」かどうかを判断すべき

○ 祖母A(譲渡人)は高齢のため、アパート経営及び管理が

  煩わしくなったこと、また、建築に伴う借入金を返済する目的から、

  今回の譲渡を行ったこと

○ 下記のことを総合勘案すると「著しく低い価額の対価」による

  譲受けに該当しない

・ 金融機関からの借入金により、この不動産を取得したこと

・ 売買価額は不動産業者から相場を聞き、

  固定資産税評価額を参考に利用形態を考慮して決定したもの

・ 仮に土地の時価が原処分庁が主張する約6,553万円だったとしても、

  実際の79.3%である

→ 5,200万円÷約6,553万円=79.3%

・ 祖母Aはこの不動産を相続で取得したもので、

  長期間所有していたものであること

・ 譲渡対価は7,195万円であり、また、相続税評価額は6,923万円であり、その譲渡対価が相続税評価額を上回っていること

いかがでしょうか。

同族間で不動産を売買する場合、当事者が個人であれ、法人であれ、

その「時価」の取扱いには細心の注意を要します。

また、一般的には建物に関しては「割増償却などを考慮しない」通常の

減価償却を行った後の簿価を時価とみなして売買金額を決定する場合もあるでしょう。

(譲渡に際しては、適正簿価を検証することは重要です。)

土地に関しては逐一、不動産鑑定を行わない場合も多いでしょう。

そういう意味では、上記裁決の判断基準となった金額の各水準は

参考になるべき部分もありますので、今後の実務にお役立て頂ければと思います。当然ですが、裁決があるということは、この水準の話であっても原処分庁から更正されたということですから。

なお、本件事案でも論点となった個別通達のURLは下記ですので、併せてご参考になさってください。

負担付贈与又は対価を伴う取引により取得した土地等及び家屋等に係る評価並びに相続税法第7条及び第9条の規定の適用について

http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kobetsu/sozoku/890329
/01.htm

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2013年3月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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