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2017.10.26

年払いの保険料が役員給与となる場合の盲点

※2017年6月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

今回は「年払いの保険料が役員給与となる場合の盲点」ですが、

平成15年2月20日の裁決を取り上げます。

本メルマガではなく、私が発行しているメルマガで

5月に「生命保険料が役員給与になる場合の注意点」を

3回に渡って解説しました。

この3回シリーズの中でも解説したのですが、

「年払いの保険料が役員給与とされる場合、

その保険料(役員給与)は短期前払費用の適用を受けることができない」

という旨を解説しました。

その根拠となる裁決が今回の裁決です。

実際には従業員に対する給与も同様の観点から問題になったのですが、

役員給与の部分のみをピックアップします。

まずは、基礎事実の一部を記載します。

〇請求人は、9年4月役員報酬の合計金額25,750,800円、10年4月役員報酬の

合計金額25,750,800円、11年4月役員報酬の合計金額26,110,800円及び

12年4月役員報酬の合計金額26,110,800円を、それぞれ平成8年5月1日から

平成9年4月30日までの事業年度(以下「平成9年4月期」という。)、

平成10年4月期、平成11年4月期及び平成12年4月期の損金の額に算入した。

〇請求人は、上記の各金額を、それぞれ平成9年4月25日、平成10年4月25日、

平成11年4月25日及び平成12年4月25日に、社会保険料等として控除する

金額を差し引いた残額の12分の1を額面金額とする12枚の約束手形を

振り出して支給した。

なお、約束手形の決済期日は、各年5月25日以降の各月の25日である。

この状況の下、国税不服審判所は下記と判断したのです。

〇本件前払通達の後段の取扱いは、重要性の原則の範囲内において

その適用が認められるべきものであり、同原則の範囲内か否かの判断に

当たっては、前払費用の金額だけではなく、当該法人の財務内容に

占める割合や影響等も含めて総合的に考慮する必要があると考えるべき。

〇重要性の原則は、企業会計上の明確な原則であり、その適用範囲も

合理的に判断できるものであるから、本件前払通達の後段の取扱いが

重要性の原則に基づくことやその判断基準が本件前払通達に明示

されていないからといって、租税法律主義に反するとはいえない。

〇本件各役員報酬は請求人の業務を執行したことに対する対価として、

(中略)支払われるものであって、このような人件費は、

企業が営利活動を行う上で必要なものであり、企業活動の根幹に係る

行為に対する対価であることからすると、会計科目としての重要性を

有するといえる。

〇請求人の本件各事業年度の申告所得金額に対する人件費(請求人が

決算書に記載している「給与」金額をいい、以下同じ。)の割合は、

おおむね314.3ないし853.2%、売上金額に対する人件費の割合は、

おおむね52.5ないし56.3%で、本件各事業年度に係る人件費のうちに

本件各役員報酬等の金額が占める割合も、おおむね31.0ないし40.7%と、

高率かつ可変的であり、金額的にみても重要性を有するといえる。

〇本件各役員報酬等は、時の経過に応じて自動的、合理的に費用化

されるような重要性の乏しい費用とは本質的にその性質を異にするもの

であると認められ、本件各役員報酬等に対して、本件前払通達の後段の

取扱いを適用することはできないと解するのが相当である。

いかがでしょうか?

年払いの生命保険料が役員給与となる生命保険契約がありますが、

これを支払った事業年度の損金にしているケースも見受けられます。

しかし、それは経済的利益という形式で支給された役員給与につき、

短期前払費用の考え方を適用していることになるので、注意しましょう。

 

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一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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