2015.05.12

推計課税とは?

※2012年8月の当時の記事です。

税務調査の最盛期に突入しました。税務調査研究会の方々と話していても、
「調査予約が〇件入っている」という話題が多くなりました。

さて、税務調査において実額で計算できない(するのが面倒な)場合は
「推計」によって増差を決めようとする調査官がいます。

・売上先などが少額で多数の場合
・現金商売で実際には売上を追えない場合
・粗利率等から所得計算がおかしいと判断した場合

今から書く内容は、あくまでも推計の結果出た数字を受け入れて、
修正申告する場合は関係ありません。なぜなら、
修正申告は納税者が納得しているわけですから、
推計であろうとバーターであろうと、増差の根拠が
法律に従っている必要などまったくないからです。

しかし、調査官が「推計します」と言ってきたケースで、
その推計方法が合理的ではない場合、つまり増差所得が
想定より高く出た場合、どのように反論するのかが大事になります。

あまり知られていないようですが、推計課税には
「法律による要件」が存在します。

法人税法131条(推計による更正又は決定)
税務署長は、内国法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合には、
内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の
更正をする場合を除き、その内国法人の財産若しくは債務の増減の状況、
収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数
その他事業の規模によりその内国法人に係る法人税の課税標準を推計して、
これをすることができる。

所得税法156条(推計による更正又は決定)
税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、
その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は
生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模により
その者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額
(その者の提出した青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、
事業所得の金額及び山林所得の金額並びにこれらの金額の計算上生じた
損失の金額を除く。)を推計して、これをすることができる。

これらの条文から明確であるとおり、
青色申告であれば推計をすることはできません。

ここで「青色申告だから推計は法律上できません!」と主張すると、
調査官は「では青色申告の取消しをしますよ」と「脅して」
くる可能性もありますが、この対応方法は
更正するなら青色の取消? 」
を読み返していただければと思います。

繰り返しになりますが、実額計算ではなく推計の方が

・早く終わっていい
・増差所得が少なくて済む

などの場合は、青色申告であっても受け入れればいいでしょう。
しかしそうではない場合の対応が問題なのです。

また、もう1つ知っておくべきことは、
「推計には決まった計算方法がない」ということです。

より合理的な方法であれば、どのような数字から
推計をしても許されています。

公開裁決事例でもこのような4事案があります。
http://www.kfs.go.jp/service/MP/03/0602000000.html

つまり、推計自体を受け入れるが、調査官が採用した
方法を受け入れないで、他のより合理的な方法を
こちらから提案・主張することも可能なのです。
ここに更なる交渉の余地があるのです。

調査官の「推計にしましょう」という安易な提案に、
簡単に屈しないで調査対応していただきたいと思います。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2012年8月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

この記事のトラックバックURL
https://kachiel.jp/blog/%e6%8e%a8%e8%a8%88%e8%aa%b2%e7%a8%8e%e3%81%a8%e3%81%af%ef%bc%9f/trackback/

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。