2015.04.16

修正申告という名の脅し

先月から相談を受けている2つの事案で、偶然にも同じような「問題」が発生しています。
重要ですのでこのメルマガで皆さんに共有したいと思います。

2つの事案に共通していることは下記のとおりです。(事案の具体的内容に関しては差し控えます)

(1)否認指摘の内容に対して、納得できないポイントについて抗弁書を作成して統括官と調査官に説明・
提出した。

(2)税務署としては修正申告を提出してもらうか(増額)更正するだけですから、と(冷静に)言われた。

(3)上記にも関わらず、修正申告に応じない(つまり更正になる) デメリットを散々まくし立てられた。

具体的には、

①税務調査を徹底的にやり直すからさらに時間を要すること(税務調査が長引くことをアピール)

②取引先等への反面調査をする(反面調査を嫌がらせの手段に)

③修正申告なら3期だけだが、更正なら5期になる(除斥期間のタテに主張)

④更正になると修正申告より間違いなく税額が増える (更正の方が税額的にも不利だと強調)

さて、このような状況になると、ほとんどの納税者(税理士)は修正申告に応じると思います。
しかし、これは明らかな「違法」調査です。それはなぜでしょうか?

修正申告の慫慂(しょうよう)は、法的な取扱いとしては行政手続法に定める「行政指導」に該当し
ます。(自主的な修正申告書の提出は違います)

行政手続法第32条(行政指導の一般原則)
2 行政指導に携わる者は、その相手方が行政指導に従わなかったことを理由として、不利益な取扱い
をしてはならない。

この条文を税務調査に当てはめるとこうなります。

「国税調査官は、納税者が修正申告の慫慂に応じなかったことを理由として、不利益な取扱いをしては
ならない。」

不利益な取扱いとは、上記の①~④のようなことです。というわけで、上記の発言をした税務調査は、
行政手続法違反となり、違法な税務調査であり、即刻打ちきりにするよう主張することができます。
実務的なことを書いておくと、ほとんどの場合、「(増額)更正になった方が税額は減ります。」

【理由】

(1)更正における「附記すべき理由が曖昧」
更正するには法律上の根拠が明確に必要です。
なぜなら更正の通知書には理由の附記が必要だからです。
(青色申告者だけの特典ですが)簡単に法律を根拠にした更正ができるとは思えません。
根拠が曖昧な否認指摘は更正時に取り下げてきます。

(2)不服申立て・裁判が前提となっている
更正すると不服申立てや、その後裁判になる可能性があります。
裁判まで見据えた課税処分を簡単にできるわけがなく、確実に裁判でも勝てる箇所しか更正してきません。
負けそうな要素があれば更正しないというわけです。

(3)署長・副署長が保守的
(増額)更正はすべて署長・副署長の決裁が必要です。更正をしたがる署長・副署長はいません。
現場レベルの調査官や統括官がいかに更正と言っても、署長・副署長が「修正申告で何とかしてこい」と
言う可能性が圧倒的に高いのです。
このメルマガでは何度も「修正申告の(慫慂ではなく)強要」を取り上げていますが、
現実的には調査官の脅しに屈している場合がほとんどでしょう。
法律論と税務署の内部事情をきちんと知ったうえで、正しい対応を選択してください。

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

※2012年5月の当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

この記事のトラックバックURL
https://kachiel.jp/blog/%e6%a5%ad%e7%b8%be%e6%82%aa%e5%8c%96%e6%94%b9%e5%ae%9a%e4%ba%8b%e7%94%b1%e3%81%af%e3%81%a9%e3%81%93%e3%81%be%e3%81%a7%ef%bc%9f/trackback/

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。