• HOME
  •  › ブログ
  •  › 法人設立期間中の損益の帰属
2015.07.06

法人設立期間中の損益の帰属

さて、今回は「法人設立期間中の損益の帰属」です。

会社を設立する場合、その設立期間中もビジネスは動くため、収入、経費が発生してしまう場合があります。

では、この損益はどう帰属させればいいのでしょうか?

これに関しては法人税基本通達がありますので、まずは見てみましょう。

(法人の設立期間中の損益の帰属)

2-6-2 法人の設立期間中に当該設立中の法人について生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。

ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益

又は

当該法人が個人事業を引き継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益については、この限りでない。

(注)

1 本文の取扱いによって申告する場合であっても、当該法人の設立後最初の事業年度の開始の日は1-2-1によるのであるから留意する。

2 現物出資により設立した法人の当該現物出資の日から当該法人の設立の日の前日までの期間中に生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することとなる。

これを読むと「法人成りの場合は、この限りでない」とあるので、法人設立前の損益は個人に帰属することになります。

これに関して争われた事例(国税不服審判所裁決、平成4年2月13日)があります。

http://www.kfs.go.jp/service/MP/02/0203060000.html

この事例では通達の考え方通り、また、設立日前に青色事業専従者給与を支払っていたという事実などにより、個人に帰属するものとして否認されました。

ただし、設立前に近隣交渉費として入金された500万円は「将来における実費清算を予定した仮払金」ということで、「収入ではなく、預り金」ということで、納税者の主張を認めました。

実務を行なっていると、法人成りの場合であっても、

「設立期間中のものは法人で計上してください」

「節税のために、法人を設立したのですから」

と要請されることもあります。

しかし、これは基本通達にも明記されていることであり、個人事業として申告すべきものになるので、ご注意ください。

なお、話は変わりますが、放置などの理由により設立登記まで通常よりも時間がかかることがあります。

この場合の損益は誰に帰属するかというと、逐条解説の解説文にその記載があります。

これによれば、

○ 設立中の法人は設立後の法人と切り離し、「権利能力なき社団」と

  みるのが会社法上の通説である

○ 「権利能力なき社団」として、法人税の申告が必要と考えられる

と記載されています。

では、通達本文にもある「設立に通常要する期間」とは、どの程度の時間を指すのでしょうか?

ここには明確な答えはありませんが、「法人税基本通達の疑問点」という書籍(ぎょうせい)に「一般的には1か月以内」という記載があります。

 

ちなみに、この書籍の編集代表者は渡辺淑夫先生(青山学院大学名誉教授。

国税庁審理課課長補佐、同法人税課課長補佐、

東京国税局調査部国際調査課長、同調査審理課長、同直税部訟務官室長、

東京国税不服審判所第三部長、芝税務署長等を歴任)です。

いかがでしょうか?

法人成りはよくある話でもあり、「法人に付けてください」という要請があることも事実です。

しかし、実際の否認事例もあるので、ご注意頂ければと思います。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2013年2月の当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

この記事のトラックバックURL
https://kachiel.jp/blog/%e6%b3%95%e4%ba%ba%e8%a8%ad%e7%ab%8b%e6%9c%9f%e9%96%93%e4%b8%ad%e3%81%ae%e6%90%8d%e7%9b%8a%e3%81%ae%e5%b8%b0%e5%b1%9e/trackback/

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。