2016.06.24

無申告加算税の取扱い

※2015年4月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

 

日本中央税理士法人の見田村元宣です。

 

今回は「無申告加算税の取扱い」ですが、

平成26年7月28日の裁決を取り上げます。

無申告加算税については、「納付すべき税額に百分の十五の割合を乗じて

計算した金額に相当する無申告加算税を課する」とされていますが(国通法

66①)、「期限後申告書又は~修正申告書の提出があつた場合において、

その提出が、その申告に係る国税についての調査があつたことにより当該

国税について更正又は決定があるべきことを予知してされたものでないときは、

~無申告加算税の額は、~当該納付すべき税額に百分の五の割合を乗じて

計算した金額とする。」ともされています(国通法66⑤)。

この「その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより

当該国税について~決定があるべきことを予知してされたものでないとき」

に該当するか否か」につき、争われたのが本件です。

まずは、時系列的に流れを整理してみましょう。

○平成24年9月10日:本件土地の贈与

○平成25年5月10日:原処分庁は「贈与税の申告について」という

 書面を送付(下記事項が記載)

→請求人の平成24年分の贈与税の申告の要否について調査を行う旨

→贈与を受けた不動産の登記関係書類、及び当該不動産の所在、地積、

 形状が確認できる書類等を持参の上、平成25年5月23日午後1時頃に

 B税務署に来署を求める旨

→お尋ね事項として「a市b町○-○所在の土地について」の記載あり

○平成25年5月28日:税理士が税務署に赴いた

○平成25年6月7日:期限後申告書の提出

○平成25年6月26日:無申告加算税の賦課決定処分

この前提の中、国税不服審判所は下記と判断しました。

○認定事実(一部)

・原処分庁所属の職員は、平成24年分の贈与税の法定申告期限後、B税務署内

において、所有権移転に係る登記情報から収集された資料(なお、当該資料

は平成24年末までに収集されていた。)に基づいて、請求人が平成24年中に

本件土地の共有持分を贈与により取得していることを確認し、本件土地に

係る路線価等から上記共有持分の価額を検討し、同税務署内において請求人

の平成24年分の贈与税に係る申告の有無を確認した。その結果、請求人が

平成24年中に本件土地の共有持分を贈与により取得したことについて、

贈与税の課税が見込まれるにもかかわらず、請求人が平成24年分の贈与税の

申告を行っていないことを把握した。そこで、原処分庁は、請求人に対し、

本件書面を送付して来署を求めた。

・平成25年5月28日の本件担当者と本件税理士との面接の状況は、次のとおり

であった。

(イ) 本件税理士は、平成25年5月28日、請求人の代わりにB税務署に赴き、

本件書面の写しを提示した上で、本件担当者と面接した。

(ロ) 本件担当者は、本件税理士に、本件土地に係る路線価図の写し及び

本件土地が存する場所の住宅地図の写しを渡し、本件土地に係る正面路線価

が255,000円、本件土地の地積が151.11㎡及び請求人が贈与により取得した

本件土地の共有持分が1,510分の248であるため、贈与税の申告が必要である

旨の説明をした。なお、当該説明において、本件担当者は、本件税理士から、

請求人が贈与により取得した本件土地の共有持分は1,510分の248よりも

少ないとの申立てを受けた。

(ハ) 本件税理士は、本件担当者に、請求人が本件土地の共有持分を贈与に

より取得したことについて贈与税の申告書を提出する予定であるから、

しばらく時間の猶予が欲しい旨申し立てた。

○ 法令解釈

通則法第66条第5項に規定する「調査」とは、課税庁が行う課税標準等又は

税額等を認定するに至る一連の判断過程の一切を意味し、課税庁の証拠書類

の収集、証拠の評価あるいは経験則を通じての課税要件事実の認定、租税法

その他の法令の解釈適用を経て決定に至るまでの思考、判断を含む包括的な

概念であり、税務調査全般を指すものと解され、納税者本人に対する臨場調査、

呼出調査だけでなく、いわゆる机上調査や準備調査等のような税務官庁内部

における調査も「調査」に含まれるものと解される。

○ 当てはめ

・原処分庁所属の職員は、平成24年分の贈与税の法定申告期限後、B税務署内

において、所有権移転に係る登記情報から収集された資料に基づいて、請求人

が平成24年中に本件土地の共有持分を贈与により取得していることを確認し、

上記共有持分の価額を検討し、贈与税の申告の有無を確認した結果、請求人

が平成24年中に本件土地の共有持分を贈与により取得したことについて

贈与税の課税が見込まれるにもかかわらず、請求人が平成24年分の贈与税の

申告を行っていないことを把握した。そこで、原処分庁は、請求人に対し、

本件書面を送付し、請求人に来署を求めている。

・本件担当者は、平成25年5月28日、請求人に送付された本件書面の写しを

持参してB税務署を訪れた本件税理士に対し、本件土地に係る路線価図の写し

及び本件土地が存する場所の住宅地図の写しを渡し、本件土地に係る正面

路線価が255,000円、本件土地の地積が151.11㎡及び請求人が贈与により

取得した本件土地の共有持分が1,510分の248であることを説明した上で、

贈与税の申告が必要である旨説明している。

・その後、本件担当者は、請求人が贈与により取得した本件土地の共有持分

について再度確認したところ、誤って説明していたことが判明したため、

同月30日、本件税理士に電話をし、請求人が贈与により取得した本件土地の

共有持分は1,510分の82である旨の説明をしている。

・以上によれば、原処分庁所属の職員は、B税務署内において資料(所有権

移転に係る登記情報から収集された資料や本件土地に係る路線価等)の確認

や検討をすることにより、請求人の平成24年分の贈与税の申告が必要である

と見込まれると判断していることが認められ、また、本件担当者は、本件

税理士と面接し、資料(本件土地に係る路線価図等の写し)の交付や説明

(本件土地に係る正面路線価等の説明)をするとともに、請求人の平成24

年分の贈与税の申告が必要である旨の説明をし、その後も、請求人が贈与に

より取得した本件土地の共有持分を改めて確認し、その再確認結果を本件

税理士へ連絡していることがそれぞれ認められるのであるから、これら

原処分庁所属の職員及び本件担当者の一連の行為は、課税庁が行う課税標準等

又は税額等を認定するに至る一連の判断過程であると認められる。

・したがって、本件においては、通則法第66条第5項に規定する「調査」が

あったと認められる。

・上記の本件期限後申告書の提出に至る事実によれば、請求人は、平成25年

5月28日に本件税理士が請求人宅を訪れ、請求人の配偶者に請求人の平成24年

分の贈与税の申告が必要である旨を説明した時から遅くとも同年6月7日に

本件期限後申告書を提出した時より前までの間に、請求人が平成24年中に

本件土地の共有持分を贈与により取得したことについて平成24年分の贈与税

の期限後申告が必要であることを認識するに至り、このまま当該期限後申告

をしなければ決定されるであろうことを予知し、その上で本件期限後申告書

を提出したものと認められる。
 

・したがって、本件期限後申告書の提出は、通則法第66条第5項に規定する

「その提出が、その申告に係る国税についての調査があったことにより当該

国税について…決定があるべきことを予知してされたものでないとき」に

該当しない。

いかがでしょうか?

不動産の登記簿謄本の異動はチェックされていますので、不動産の贈与につき、

事後的に税理士が対応することがあります。

そういう場合の無申告加算税に関する考え方として、覚えておいて頂ければと

思います。

なお、本件とは直接の関係がありませんが、国税通則法第66条第6項では

「第一項の規定は、前項の規定に該当する期限後申告書の提出があつた場合

において、その提出が期限内申告書を提出する意思があつたと認められる

場合として政令で定める場合に該当してされたものであり、かつ、当該

期限後申告書の提出が法定申告期限から二週間を経過する日までに行われた

ものであるときは、適用しない。」とあり、施行令第27条の2(期限内

申告書を提出する意思等があつたと認められる場合)では、下記とされて

いますので、併せて覚えておいて頂ければと思います。

法第六十六条第六項 (無申告加算税)に規定する期限内申告書を提出する

意思があつたと認められる場合として政令で定める場合は、次の各号の

いずれにも該当する場合とする。

一 法第六十六条第六項 に規定する期限後申告書の提出があつた日の前日

から起算して五年前の日(消費税等(法第二条第九号 (定義)に規定する

課税資産の譲渡等に係る消費税を除く。)、~印紙税に係る期限後申告書

(印紙税法(略)第十二条第五項(略)の規定によるものを除く。)である

場合には、一年前の日)までの間に、当該期限後申告書に係る国税の属する

税目について、法第六十六条第一項第一号 に該当することにより無申告

加算税又は重加算税を課されたことがない場合であつて、同条第六項の規定

の適用を受けていないとき。

二 前号に規定する期限後申告書に係る納付すべき税額の全額が法定納期限

(当該期限後申告書に係る納付について、法第三十四条の二第一項(口座

振替納付に係る納付書の送付等)に規定する依頼を税務署長が受けていた

場合又は電子情報処理組織による輸出入等関連業務の処理等に関する法律

(略)第四条第一項 (口座振替納付に係る納付書の送付等)に規定する

依頼を税関長が受けていた場合には、当該期限後申告書を提出した日)までに

納付されていた場合又は当該税額の全額に相当する金銭が当該法定納期限

までに法第三十四条の三 (納付受託者に対する納付の委託)の規定により

納付受託者に交付されていた場合

2 法第六十七条第三項 (不納付加算税)に規定する法定納期限までに

納付する意思があつたと認められる場合として政令で定める場合は、同項に

規定する納付に係る法定納期限の属する月の前月の末日から起算して一年前

の日までの間に法定納期限が到来する源泉徴収による国税について、次の

各号のいずれにも該当する場合とする。

一 法第三十六条第一項第二号 (納税の告知)の規定による納税の告知

(法第六十七条第一項 ただし書に該当する場合における納税の告知を除く。)

を受けたことがない場合

二 法第三十六条第一項第二号 の規定による納税の告知を受けることなく

法定納期限後に納付された事実(その源泉徴収による国税に相当する金銭が

法定納期限までに法第三十四条の三 の規定により納付受託者に交付されて

いた場合及び法第六十七条第一項 ただし書に該当する場合における法定

納期限後に納付された事実を除く。)がない場合

 

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