2014.10.29

申告是認通知

国税庁では平成10年より、税務調査の結果を書面での通知を始めました。

「納税者サービスを充実するため」とうたい
次のケースの場合、書面により申告が適正だったと通知を行います。

①通知を行う事案は、調査の結果全く非違が認められない事案とする。
②通知は、納税者から要求があった場合に納税者本人に対し書面で行う。

といった2つの項目をあげています。

その内容は実に簡素な文面です。

「さて、あなた(貴社)の○○税について、調査を実施いたしましたところ、
現在までの調査の結果によると、問題とすべき事項はなく、
適正な申告と認められましたので、お知らせします。

なお、今後とも適正な申告と納税にご協力をお願いします。」

わずか数行の書面が税務署長名で発行されます。

しかし、この「申告是認通知」を手に入れたからと言って
免罪符を手に入れたワケではありません。

欄外に小さくこのような文言が存在します。

「本文書は、現在までの調査の結果を通知するものであって、
再調査によって是正することもあり得ます。」

つまり今回の調査では特に異常は見当たらなかっただけで
再調査をしないとは一言も言ってませんよ!と述べられているのです。

【現時点では…】という部分を強調して述べています。
通知書が簡素に作られている理由でもあるのでしょう。

調査で非違がなかったと言うことは、修正申告を提出する必要もなく、
また更正される心配もないと言うことです。

では、非違がなければ必ずこの「申告是認通知」が来るのでしょうか?
実は、そうではありません。

調査官も税務調査に自身の出世がかかっています。
『増差所得』や『重加算税』をとるために目の色を変えて調査します。

しかし「非違項目は見当たらなかった。」
ということはなかなか上司には報告できません。

セミナーでもお話しておりますが、【調査官には調査件数のノルマ】があります。
「何日も費やして何も出てきませんでした」では洒落になりません。

そこで、いっそ調査をしなかったことにしてしまうのです。
これが”調査省略”と言う手段です。

調査をしなかったので、報告も必要がなくなります。

納税者に対しては、最後まで疑問点、問題点がある事を強調しつつ
税額の是正までは必要としない指導に留めたとの趣旨を説明します。

このケースの場合は、非違はなくとも是認通知が出ないのです。

何とも不可思議な説明ですが…
多くの税理士が「申告是認通知」をほとんど目にしたことがないワケです。

しかし、納税者にとってこの「是認通知」が大きな役割を果たします。

当然、税務当局からの見方が変わってきます。
また、金融機関や取引企業から飛躍的に信頼が高まります。

「申告是認通知」は正しく納税したことの証です。
単なる紙切れ一枚と馬鹿にすることなかれです。

 

※2010年4月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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