• HOME
  •  › ブログ
  •  › 競争ばかりの出世すごろく
2014.10.20

競争ばかりの出世すごろく

今回は、『税務職員の昇進』がテーマです。

税務職員にとって、毎年、ちょうど3月の時期になると
昇進の判断材料となる勤務評価がつけられます。

各税務署では、直属の統括官が評価をつけ、
担当の副署長そして署長が見直しをすることになります。

昇進については、採用期別に何人と枠が決められています。
この枠の中に入ることも、かなりの倍率の競争を勝ち抜かなければなりません。

昇進するためには、研修での成績や日頃の勤務評価の他、
やはり上司の推薦なども大きく影響してきます。

前回のメルマガでは、税務職員になるには国家公務員Ⅲ種試験(普通科)と国税専門官試験によって採用される2つのルートがあるとお話しました。

彼らの昇進の最終的なポストは税務署長となります。
同期の中でも2~3人は、地方の国税局長クラスになる者もいます。

東京国税局を例にお話をしますと、
部長ポストは総務部、課税第一部、課税第二部、徴収部、調査第一部、調査第二部、調査第三部、調査第四部、査察部と9つのポストがあります。

この中で、普通科と国税専門官に与えられているのは
調査第三部と調査第四部の部長のわずか2つのポストだけです。

同期の中でも出世頭の者だけがこれらのポストや
五大署(麹町、神田、日本橋、京橋、芝)と呼ばれる署長になることができます。

逆に全く出世できず、税務署の上席調査官のまま
60歳の定年を迎える者も少なくありません。

署長まで出世するためのコースは殆ど決まっています。
税務署ばかりを異動していてはかなり難しいでしょう。

国税専門官採用者は、採用から3年後の専科研修終了時に
全員一律に国税調査官に昇進します。

普通科採用者は、採用8年後から国税調査官に昇進していきますが、
これは全員一律ではありません。

その後は、国税局の実査官、調査官や税務署の会計係長、
総務係長になる者もいれば、上席国税調査官に昇進する者と様々に別れていきます。

上司推薦を受け財務省や国税庁に出向し、連日の激務に耐え抜き、課長補佐になるか国税局の総務課、主務課(所得税課、法人税課、資産税課、消費税課)等に入り、課長補佐にまでなり、副署長なった者だけが、署長のポストに就くことができます。

この厳しい競争に勝ち抜いた頃には56~57歳。
最後の1~2年を税務署長として過ごし、定年まで2年を残して勇退します。

キャリア組と呼ばれる大蔵省組が30代後半、国税庁組が40代前半には署長になるのに対して、ノンキャリアがそのポストに就けるのはわずかな期間です。

以前、税務職員が痴漢行為をして逮捕される事件がありましたが
職員の汚点は、当然、監督責任者である税務署長にもおよびます。

署長の退職金がすべてなくなるケースも少なくありません。

署長として「集大成であるわずかな期間に問題を起こしてくれるな!」
と漏らす事なかれ主義の方も多いようです。

厳しい競争ばかりの出世すごろく。そのゴールに用意された署長の椅子。ゆっくりと座る時間も与えられないほど、現実は厳しい世界なのです。

 

※2010年3月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

毎週水曜日に配信する『税務調査対策のメールマガジン』では、最新の税務調査事情はもちろんのこと、調査官の心理、税務署のウラ側など元国税調査官だからこそ語れるマニアックなテーマまでをお届けします。
「こんなことまで話して本当に大丈夫ですか?」 と多くの反響を頂く税理士業界では話題のメルマガです。
お名前とメールアドレスを登録するだけで 毎週【 無料 】でメルマガを配信いたします。