2015.03.16

裁決の実態

今回のテーマは、『裁決の実態』です。

このブログでもよく書いている通り、否認指摘に対して
納税者として納得できないのであれば修正申告をしないで、
(増額)更正された方がいいです。

何の根拠もなく、「(増額)更正されるなんて大変なことだ!」
と思っている税理士も多いようですが、まったく違います。
更正を主張する、または更正されるということは、

・税務署では更正をするのが相当大変なのが実態ですから、
 「更正してくれ」と言うだけで譲歩してくる可能性が高い

・更正には「理由の付記」が必要なので、否認するには
 明確な法令の根拠が必要ですが、実際には法令の根拠が不明確で
 更正にならない(できない)ケースも数多くあります。

・更正されても、修正申告と何ら「税額上の」デメリットはない
 (本税も加算税も、更正で増えることはありません)

・更正されたからといって、翌年度以降の税務調査は増えません
 (この点は、「不正した=重加算税」とは違います)

・税務署の処分なので不服申立てをすることができる
 (不服申立てをするかどうかはあとで判断すればいい)

というメリットばかりです。そこにもう1つ。
裁決で勝つ確率を織り込むべきでしょう。

国税不服審判所のホームページには、平成22年度までの
「審査請求の状況」が開示されています。

http://www.kfs.go.jp/introduction/demand.html

審査請求で納税者が何らかの形で勝っている割合は12~14%。
もちろんこの中には、一部しか勝っていないものもあります。
全面的な納税者側の勝利は4~5%となっています。

私はこの納税者が勝つ割合は、実際には税理士の対応で
上がるものと考えています。つまり、税務調査での対応を、
裁判や審査請求にいくことを前提にしていれば、
納税者側に有利な資料・証拠を出すことができるので、
裁決でももっと勝てると考えているわけです。

具体的には、

・税務調査を録音する
・論点がズレる・モメた場合は書面でやり取りをする
・否認根拠を「法令」で明示してもらう

の3点さえ実施していれば、実際には勝てる確率は格段に上がるはずです。

また世論的な問題もありますが、国税不服審判所は年々、
公平性を保つために民間人の登用を進めています。
今年7月10日現在で、165人のうち26人が民間人(弁護士・会計士)が
登用されていますし、今後も民間人の人数が増える予定です。
(逆にいえば、まだ165人中139人が国税職員なのですが)
今後はさらに、「公平な」裁決が期待することができます。

不服申立て(異議申立て・審査請求)は弁護士も不要ですし、
行政手続きですから費用負担なく行うことができますが、
審査請求には「公定力」が認めらていますから、
国税不服審判所で納税者が勝てばそれだけで裁判にはいきません。
(つまりそこで決着となります)

国税通則法第102条(裁決の拘束力)

裁決は、関係行政庁を拘束する。
2 申請若しくは請求に基づいてした処分が手続の違法若しくは
不当を理由として裁決で取り消され、又は申請若しくは請求を
却下し若しくは棄却した処分が裁決で取り消されたときは、
当該処分に係る行政機関の長は、裁決の趣旨に従い、
あらためて申請又は請求に対する処分をしなければならない。
3 国税に関する法律に基づいて公示された処分が裁決で取り消され、
又は変更されたときは、当該処分に係る行政機関の長は、
当該処分が取り消され、又は変更された旨を公示しなければならない。
4 国税に関する法律に基づいて処分の相手方以外の利害関係人に
通知された処分が裁決で取り消され、又は変更されたときは、
当故処分に係る行政機関の長は、その通知を受けた者
(審査請求人及び参加人を除く。)に、当該処分が取り消され、
又は変更された旨を通知しなければならない。

審査請求は大企業のものではありません。
納得できない税務調査(の内容)であれば、
どんな金額でも修正申告せず審査請求まではいくべきです。

 

※2011年11月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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