2014.10.30

赤字企業への税務調査

 

国税庁がこの程まとめた会社標本調査によりますと
平成20事務年度分で赤字を計上した企業数は、なんと71.5%だったとか…

昭和26事務年度分から始まった法人調査で、赤字企業数が7割を超えたのは
初めてとなり、過去最悪とされきた平成11年の69.9%を上回ってしまいました。

法人税収の大幅な減少は、深刻な問題へと発展しています。

「今年の決算は赤字だったから、とりあえず税務調査の心配はないな」
そんな風に楽観視する経営者も多くいるようです。

“赤字の企業に税務調査は入らない”というのは、もはや迷信に過ぎません。

実際、ここ数年の調査傾向を調べてみますと、
法人調査の3件に1件は、赤字企業に対する税務調査なのです。

「赤字企業に調査へ入っても何も取るモノがないでしょ?」
と考えるか方も少なくないでしょう。

しかし、この不況を利用した脱税が横行しているのです。

平成20事務年度では、4万9325件の赤字企業に実地調査が入っています。
このうち本来黒字で申告する必要があった企業は6956件もありました。

実に14%の企業が長引く不況に便乗し、不正経理を行い
仮装赤字として申告を行っていたのです。

こうした企業の不正をどのように発見してきたのでしょうか?

まずは、黒字を続けてきた企業であるにも関わらず
一挙に多額の赤字を計上してきたパターンです。

これらの企業に対して、なぜ赤字に転落したのか詳しく原因を調査します。
またKSKを使って、同業者の比率も徹底的に調査します。

同業者も軒並み業績が下落傾向にあるものの
その数字が著しく突出していれば、仮装赤字の可能性が高くなります。

売上利益と棚卸し高に大きな変化はないか?
交際費の処理が適正が行われているか?

といった調査の基本編といえる部分はもちろんですが、
企業が抱える不良債権についても厳しくチェックしていきます。

倒産が相次ぐこのご時世、どの企業にも回収できない債権は
ひとつやふたつはあるでしょう。

しかし、貸倒損失を処理するタイミングが
妙に早かったりした場合、さらに詳しく調査を行います。

これは、貸倒損失の中に使途の不明瞭な支出を潜り込ませておく
といった巧妙な手口で、近年、頻繁に用いられているからです。

また、不動産売却損にも注目しています。これは、購入当時の使途不明な支出を、
不動産の購入原価に含めていないかチェックすることが目的です。

購入原価を意図的に引き上げておくことで、不動産売却時の時価との
差額が大きくなり、黒字を軽減する効果が高くなるといったカラクリがあります。

期末の仕入れが急増している場合には、引き渡しを受けた時期を確認する
と同時に、期末に不振な大口資産の取得がないか併せて確認します。

さらに、人件費など不課税科目の金額を過去の数字と比較、
過去の推移とあまりにもかけ離れているようであれば細かく調査します。

また、ほかの科目へ付け替えていないかなどもチェックしています。

私が調査官の時代にも赤字企業に対する税務調査は何件も行ってきました。

多くの納税者が「赤字なんだから税務調査がくるとは思わなかった」
とつぶやいてきた言葉が今でも耳に残っています。

苦しい経営を続けながらも正しく申告する企業もあれば
不況を傘に赤字を仮装する企業もあります。

それは到底見過ごして良い行為ではありません。

「赤字だから税務調査の心配はないだろう」と楽観視していませんか?
春の税務調査が本格的になってきた今だから、ぜひその誤解を改めて下さい。

記載してきた以上の項目、本当に問題ありませんでしたか?

 

※2010年4月当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんので
ご注意ください。

また、ブログの内容等に関する質問は、
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

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