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2015.06.01

通達課税に対する反論方法

2012年の秋は税務調査が少ないので、個別相談の件数も
2011年に比べれば少なかったのですが油断をしていると・・・
11月に入ってから早くも2件相談が入っています。

個別の事案に関する相談はこちらをご覧ください。
http://kachiel.jp/tax/consulting2.html

 

さて、税務調査の相談で、割合として多いものが、
「否認指摘の根拠が通達なのですが反論できますか?」というものです。

確かに、日本は憲法において「租税法律主義」を規定していますから、
法律を根拠とした課税以外に理論上はありえないはずなのですが、
現実を考えると税務調査の実務上は違うと言わざるをえません。
なぜなら、通達は調査官を拘束している以上、
「調査官の」否認指摘の根拠にはなるからです。

概していうと、通達は納税者を「直接的に」拘束しませんが、
調査官を通して「間接的に」納税者を拘束しているのです。

では、通達課税が絶対的に許されるのかというと、
それは違うともいえるわけです。

通達に詳しい税理士でもあまり知らないことなのですが、
通達には「前文」というものが存在します。
前文とは「条文本体の前に置かれ、その法令の制定の趣旨、
理念、目的などを強調して述べた文章」のことを指します。

法人税基本通達の前文(一部抜粋)にはこう書かれています。

「この通達の具体的な運用に当たっては、法令の規定の趣旨、
制度の背景のみならず条理、社会通念をも勘案しつつ、
個々の具体的事案に妥当する処理を図るように努められたい。
いやしくも、通達の規定中の部分的字句について形式的解釈に固執し、
全体の趣旨から逸脱した運用を行ったり、通達中に例示がないとか
通達に規定されていないとかの理由だけで法令の規定の趣旨や社会通念等に
即しない解釈におちいったりすることのないように留意されたい。」

所得税基本通達の前文(一部抜粋)にはこう書かれています。

「その内容面においては、法令の単純な解説的留意規定は
できるだけ設けないこととするなど通達を簡素化するとともに、
なるべく画一的な基準を設けることを避け、個々の事案に
妥当する弾力的運用を期することとした。したがって、
この通達の具体的な適用に当たっては、法令の規定の趣旨、
制度の背景のみならず条理、社会通念をも勘案しつつ、
個々の具体的事案に妥当する処理を図るよう努められたい。」

ですから、通達を根拠として否認指摘に対して
反論する方法は3つ考えられるのです。

①税法の立法趣旨が優先
税法が細かいことを規定できないため、その解釈のために
通達が存在するのですから、あくまでも通達は、
法令の立法趣旨を曲げるものであってはなりません。

②社会通念が上位概念
社会情勢が大きく変わっても、それにともなって
法律が毎年改正されるわけではありません。
だからこそ、「社会通念=常識」が常に正しいということでもあります。
通達により否認指定された場合、社会通念や商習慣から
主張・反論することが常に有効になります。

③個々の事案で考える
調査官はどうしても、通達の「文言」で課税しようとします。
しかし前文にあるとおり、画一的な通達課税は許されません。
個々の事案に基づいた、その場その場の
解釈・判断が必要とされるのです。

ここで大事なことは、調査官のほとんどが
この前文の存在すら知らないという事実です。

だからこそ、通達を根拠に否認指摘された場合は、
まず通達の前文を見せて、通達が調査官を拘束するのであれば、
「前文まで拘束させるよう」に指摘することが重要なのです。

そのうえで、上記3つのうちどれかをもって反論すれば、
通達課税に対する強い反論根拠となるというわけです。

ぜひ税務調査の実務で活用してください。

 

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

2012年11月当時の記事であり、以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

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