電帳法に関する重加算税の規定:消費税
※2023年12月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
先週水曜の本メルマガから引き続き、【電帳法に関する重加算税】
の規定を解説しますが、今回は消費税に関する内容です。
いったん税目ごとの整理を行いますが、法人税・所得税に関しては
各税法において重加算税は規定されておらず、電帳法第8条第5項に
「10%の加重措置」が規定されていることは先週解説しました。
一方で、消費税法では下記条文において10%の加重措置が
規定されていることは他税目と相違しています。
消費税法第59条の2第1項(カッコ書きを除きます)
(電磁的記録に記録された事項に関する重加算税の特例)
事業者により保存されている電磁的記録に記録された事項に関し
消費税につき(略)修正申告書の提出(略)があつた場合において、
同法第六十八条第一項又は第二項(重加算税)の規定に
該当するときは、同条第一項及び第二項の重加算税の額は、
これらの規定にかかわらず、これらの規定により計算した金額に、
これらの規定に規定する基礎となるべき税額に百分の十の割合を
乗じて計算した金額を加算した金額とする。
なお、上記規定(重加算税に10%の加重措置)と
電帳法第8条第5項(同)の重複適用はありません。
電帳法通達8-22(重加算税の加重措置の対象範囲)
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/sonota/030628/pdf/01.pdf
(略)なお、法第8条第5項の規定による重加算税の加重措置
と消費税法第59条の2第1項の規定による重加算税の
加重措置については重複適用がないことに留意する。
税目によって根拠条文は相違すれど、結論は先週と同じで、
電磁的記録に関して隠蔽・仮装行為があった場合の、
消費税に関する重加算税は、
重加算税:35%(国税通則法第68条第1項)
加重される重加算税(消費税法第59条の2):10%
=45%
となります(過去5年以内に重加算税を課されている場合は
さらに10%の加重措置(国税通則法第68条第4項)があり、
この過重分まで加味すると、重加算税は最大で55%)。
また、電帳法通達には国税庁から「解説(趣旨説明)」が
公表されていますので、下記を参考にしてください。
「電子帳簿保存法取扱通達解説(趣旨説明)」
https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/2306/pdf/1-2.pdf
※上記重加算税の加重措置については
63ページ以降に詳細な解説があります
そもそも、電帳法における重加算税の加重措置は、
電磁的記録の保存が行われている場合には、紙によって
書類等を保存する場合に比して、複製・改ざん行為が容易であり、
その痕跡が残りにくいという特性に鑑みて、こうした複製・改ざん行為を
抑止する目的で講じられた措置となります。
この過重措置(電帳法第8条第5項・消費税法第59条の2)
が適用される行為や対象範囲については、上記通達解説の
8-22に解説がありますので、そちらを参照していただきたい
のですが、消費税固有の電磁記録の範囲については下記です。
●消費税法第8条第2項:非居住者の購入証明
●消費税附則第38条第3項:国外通信利用の仕入税額控除
●消費税施行令第18条の4第2項:輸出物品購入記録
●消費税施行令第50条第2項:金地金の購入確認書類
●消費税附則第6条第1項:登録国外事業者
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