2016.03.07

意見聴取の受け方

※2014年7月配信当時の記事であり、

以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

7月に入り、さすがに税務調査も落ち着いた頃でしょう。

税務署では明日(7月3日)に辞令が出されます。

早いと、同じ税務署に残留することが決まった調査官から、調査の事前通知がくる時期でもあります。
 
さて、今回は書面添付をした場合の意見聴取の受け方についてです。
私が全国を周ってよく聞く話に、「書面添付をしても、ヒドい調査官になると意見聴取の連絡と同時に実地調査の日程を決めるくらいだから、意味ないよ」という話があります。
確かに、これが本当の運用ならヒドい話ですが、意見聴取を含めて、連絡を受ける税理士の対応方法が問われる部分でもあります。
 
まず知っておくべきなのは、書面添付に関する事務運営指針です。
法人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/hojin/090401/01.htm

個人課税部門における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/shotoku/shinkoku/090401/01.htm

資産税事務における書面添付制度の運用に当たっての基本的な考え方及び事務手続等について(事務運営指針)
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/jimu-unei/sozoku/090401/01.htm

 
これらの事務運営指針は、平成21年に大きく改正されています。
改正の趣旨はこう書かれています(一部抜粋)。
 
(趣旨)
国税庁においては、法第35条第1項に規定する意見聴取(以下「意見聴取」という。)を行った結果、調査の必要性がないと認められた場合に、税理士等に対し「現時点では調査に移行しない」旨を原則として書面により通知することとしたことから、所要の整備を図るものである。
 
改正(挿入)された具体的な文言としては、
「制度の趣旨・目的を踏まえつつ、例えば顕著な増減事項・増減理由や会計処理方法に変更があった事項・変更の理由などについて個別・具体的に質疑を行うなど、意見聴取の機会の積極的な活用に努める」
となっています。
つまり、まとめると以前は意見聴取をないがしろにしていたものを、
今はきちんとやる、ということです。
 
ここでさらに深掘りすると、上記「制度の趣旨・目的」とは何か?という部分に行き当たります。
これを明示しているのが下記になります。
新書面添付制度について(33条の2の書面及び35条の意見聴取)
https://www.nta.go.jp/sonota/zeirishi/zeirishiseido/kentokai/02.htm
 
ここには制度の趣旨として、以下のようにあります。
「新書面添付制度は、税理士法(以下「法」という。)第33条の2に規定する計算事項等を記載した書面を税理士が作成した場合、当該書面を申告書に添付して提出した者に対する調査において、従来の更正前の意見陳述に加え、納税者に税務調査の日時場所をあらかじめ通知するときには、その通知前に、税務代理を行う税理士又は税理士法人に対して、添付された書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければならない(法第35条第1項)こととされているものであり、税務の専門家である税理士の立場をより尊重し、税務執行の一層の円滑化・簡素化を図るため、従来の制度が拡充されたものである。また、この制度は、税理士が作成等した申告書について、計算事項等を記載した書面の添付及び事前通知前の意見陳述を通じて、税務の専門家の立場からどのように調製されたかを明らかにすることにより、正確な申告書の作成及び提出に資するという。税務の専門家である税理士に与えられた権利の一つである。」
 
長くなるのでもうこれ以上は引用しませんが・・・
意見聴取において担当統括官・調査官が、こちらがきちんと回答しているにも関わらず、
実地調査に移行するような発言をした場合は、上記の「趣旨」を主張しなければなりません。
 
制度の趣旨はともかく、事務運営指針すら読んだことがない税務署職員も多くいます。
「税理士の権利」をないがしろにするような調査官にはきちんと意見聴取の意味を主張しなければならず、上記を取り上げるとほとんどの事案は実地調査に移行しないものと考えます。
意見聴取も対応によって、実地調査への移行にも省略にもなるのです。
 
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