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2023.09.01

「相続空き家特例」に関する令和5年度税制改正要望(国土交通省)

※2022年9月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。

税理士法人レディングの木下でございます。

今回のテーマは
「「相続空き家特例」に関する令和5年度税制改正要望(国土交通省)」です。

各省庁より出揃った令和5年度税制改正要望
https://www.mof.go.jp/tax_policy/tax_reform/outline/fy2023/request/index.html

今回はその中でも「国土交通省」の要望事項の1つ
「相続空き家特例」に関する要望を検証します。

■現行法における実務上の問題点
譲渡「前」に耐震改修工事(措法35(3)一)
譲渡「前」に除却工事(措法35(3)二)
これらの場合に
特例適用対象が限定されています。

つまり・・・
売主・買主間の合意に基づき
譲渡『後』にどちらかの工事を実施した場合
特例適用対象とはなりません。

相続空き家特例の適用前提として
被相続人居住用家屋が「旧耐震基準」により
建築されたものが要件となります。

この「旧耐震基準」に基づく建物を
どのように処理するのか、
ここに複数の論点があります。

■建物の処理方法と特例との関係
1.(解体)更地渡し
条文上、取壊し「後」に譲渡を行うことが要件です。
そこで・・・
特例を適用させるためには、
取壊しが譲渡よりも「前」に実施される必要があります。

ただし・・・
当該取壊しが売主・買主のどちらでなければならない
ということは問われていません。

そのため・・・
除却工事は売主(相続人)・買主のどちらでも問題なく
取壊業者との契約も買主であっても問題ありません。
(税務通信 平成29年2月20日 Q6参照)

また、買主が除却工事契約を行い
買主が除却費用を負担することが売買契約になっていても
本来は敷地のみを譲渡する売主(相続人)が負担すべき費用
(譲渡対価に上乗せされるべき費用)と考えられます。

そのため、譲渡対価1億円以下の判定にあたっては
買主が負担する除却費用を含めて考える必要があります。
(税務通信 平成29年2月20日 Q7参照)

2.(耐震工事ありの)現状渡し
条文上、耐震工事「後」に譲渡を行うことが要件です。
そこで・・・
特例を適用させるためには、
耐震工事が譲渡よりも「前」に実施される必要があります。

3.(耐震工事なしの)現状渡し
条文上、取壊し「後」に譲渡を行うことが要件です。
そのため・・・
相続空き家特例の適用を受けることができなくなります。

■国土交通省からの要望事項
現状の問題点を踏まえ
国土交通省は以下事項を要望しています。

売買契約等に基づき、譲渡「後」一定期間内に
耐震改修工事又は除却工事が行われる場合、
工事の実施が譲渡「後」であっても適用対象とする。

本要望が受け入れられれば、現状渡しの場合であっても
相続空き家特例の適用が可能となります。

+α(期限の延長)
こちらも同時に要望事項として挙がっています。
現状:平成28年4月1日から令和5年12月31日まで
要望:4年間延長(令和9年12月31日まで)

参考URL(P20)
https://www.mlit.go.jp/page/content/001498645.pdf

※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。

著者情報

木下勇人

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