「税務署長」は機関の名称
※2020年10月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
株式会社KACHIELの久保憂希也です。
今回のメルマガは、ちょっと変わった
税務の内容について解説します。
確定申告書の提出先が「税務署」宛ではなく、
「税務署長」宛に提出することに
疑問・違和感をもったことはありませんか?
国税通則法を読むと、申告書の提出先は
「税務署長に対し」と規定されていますし、
主語が「税務署長」であることも多いです。
例えば、更正は税務調査をした結果として、
所得・税額に誤りがあった場合に是正を行う
行為ですが、その主語は「税務署長」です。
国税通則法第24条
税務署長は、納税申告書の提出があつた場合
において、その納税申告書に記載された
課税標準等又は税額等の計算が国税に関する
法律の規定に従っていなかったとき、その他
当該課税標準等又は税額等がその調査した
ところと異なるときは、その調査により、当該
申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。
ここからわかるとおり(税務署ではなく)
税務署長こそが国の機関であり官庁なのです。
ですから、税務署長という呼称は
職格でも人でもありません。
税務署長は税務署の中で一番偉い人、
という理解は正しいですが、それは
税務署における判断・行為の全てが
税務署長に委ねられているからです。
税務署長が国家機関としての判断・行為を
行うために各種の事務に従事する多くの
補助機関や物的設備が必要となるので、
それらを総じて「税務署」と呼んでいます。
一方で、国税通則法に定める全ての行為が
税務署長(機関)であるわけではなく、
たとえば税務調査を実施する者については、
国税通則法第74条の2で
「国税庁、国税局若しくは税務署の
当該職員」とされています。
税務署長という機関が税務調査を
行うわけではなく、各調査官に対して
質問検査権が付与されていることが
理解できるかと思います。
このように、国税通則法の規定内容
における相手方や主語を読み解くと、
誰に・どのような権限があるのか
理解しやすくなります。
国税通則法は各税法の一般法であり、
税務実務では必須の法律です。
「税務署長」という機関をキーワードに
読み解くと理解が深まりますので、
ぜひ参考にしてください。
※ブログの内容等に関する質問は
一切受け付けておりませんのでご留意ください。