【消費税】輸出『的』な取引が輸出免税と認められなかった事例
※2018年2月配信当時の記事であり、
以後の税制改正等の内容は反映されませんのでご注意ください。
日本中央税理士法人の見田村元宣です。
今回は「輸出『的』な取引が輸出免税と認められなかった事例」ですが、
東京地裁判決(平成18年11月9日、納税者敗訴)を取り上げます。
この事例は
〇 日本国内において中古車販売業を営む原告
〇 ロシア人に対して中古自動車を販売
〇 これが輸出免税に該当するとして消費税の申告
〇 この取引は輸出免税の要件を充たしていないとして、更正された
というものです。
なお、税関に関する申告書類が整うと、原告は買主とともに
新潟税関支署へ赴き、通関手続を行っていました。
ただし、買主の署名が必要とされる申告書類には
税関支署で「買主が自署」していました。
細かい事実関係は省略しますが、原告は手続きを「代行」しただけであり、
輸出許可手続きは買主(ロシア人)の名前で行われたということです。
この結果、東京地裁は下記と判断しました。
〇 本件取引に係る中古自動車については、買主であるロシア人が
当該中古自動車を自己の占有する携帯品又は別送品として輸出することを
前提とする旅具通関扱いによって、輸出許可の手続が行われていたことが
明らかである。
〇 買主には抹消登録に関する書類、譲渡証明書、印鑑登録証明書等が
交付されていることが認められるから、買主が購入した車両を「国内で処分」
することができないというわけではないし、国内で買主自らが使用する
ことが事実上困難であるとしても、これを船積みして本国に持ち帰る
という限度では買主の支配力(占有権)を及ぼすことが十分に可能
であるから、原告の主張は理由のないものといわざるを得ない。
〇 売買代金は売買契約時に既に支払が済んでおり、これによって
売買の目的物である中古自動車が自己の支配下に入った(平たく言えば、
自分のものになった)と考えるのが買主としての通常の認識であろうと
考えられることからすると、観念的には売買代金の支払時に引渡しが
行われており(したがって、その時点で売買取引そのものは完全に
終了する。)、その後の通関や車両の搬入は、本来買主が行うべきことを
原告が代理又は代行したものと解する余地が十分にあるもの
ということができる。
中古車販売業に限りませんが、市場を海外に求めて
諸外国との海外取引に目を向けている企業も増えています。
その際の輸出「的」な取引が
〇 本当に輸出免税の対象になる取引なのか?
〇 輸出手続きを「代行」しているだけなのか?
という論点は非常に重要です。
この辺りの事実関係を確認した上で申告書を作成しないと、
税務調査で否認されることになってしまうのです。
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